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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ

4301荷主研究者:2020/07/14(火) 20:47:24

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/423769?rct=n_hokkaido
2020年05/24 10:37 北海道新聞
バイオガス発電、十勝で存在感 管内に45基、全国の2割集積 農業の生産性が向上 地元関連企業も成長 増設は「送電容量」が壁

家畜ふん尿を活用して発電する大木牧場のバイオガスプラント=士幌町(小型無人機使用、北波智史撮影)

 【帯広】十勝管内が家畜ふん尿を活用して発電するバイオガスプラントの全国最多の集積地となっている。2013年度に管内19市町村が、国の「バイオマス産業都市」全国第1号に認定され、17基だったプラントは45基に増加。牧場の大規模化を支え、十勝の基幹産業である農業の生産性向上や関連産業の振興につながる。ただ、今後も数を増やすには送電線の増強が不可欠で、プラント建設を計画する事業者は行方を注視している。

 同管内士幌町で約1700頭の乳牛を飼育する大木牧場では、士幌町農協が14年度に建設したプラントが稼働している。「一番の目的は大量のふん尿を効率的に処理すること」と同農協の佐藤芳樹畜産課長は説明する。かつては全て堆肥にしていたが、畑にまけない冬は堆肥舎からふん尿があふれ、この牧場の経営者から「処理が苦痛で、もう生産を続けられない」と悲鳴が上がっていた。

 現在はプラントで毎日900頭余りのふん尿を処理でき、負担は軽減された。ふん尿から発生するガスは燃料となり、毎日6千〜7千キロワット時を発電。建設費6億6千万円のうち2億円弱は補助金でまかない、残りは北海道電力への売電収入などで回収する。同農協は12年度からプラント建設を始め、現在は8基を設置している。

 バイオマス産業都市の認定は事務局の帯広市が中心となり、管内全19市町村で取得。プラント建設に有利な補助金を利用できるようになり、十勝に全国の2割、道内の5割が集積する。

 認定を受けた市町村は道内にも複数あるが、地域一帯で認定されたのは十勝が全国唯一。一帯での申請は、帯広市の米沢則寿市長が「産業振興にはボリュームが必要」と考えたためだ。プラントでのふん尿処理を後押しすれば、農家の大規模化や生産性向上につながる。設備投資が生じることで地元メーカーを育成する狙いもあった。

 05年にバイオガスプラント事業に参入した土谷特殊農機具製作所(帯広)は、十勝を含む道内外54カ所の建設を手がけ、国内最大手に成長。参入前に約90人だった従業員は約150人に増えた。土谷紀明社長は「メンテナンスにも多くの人手がいる」と話す。

 だが今後、プラント数増加にはブレーキがかかることが予想される。近年、太陽光を含む再生可能エネルギーの発電所が急増した結果、北電と新規の売電契約ができなくなった。北電は送電線の空き容量がなくなったと説明。プラント設置者は売電しなければ建設費を回収できず、計画実行に踏み切れない。

 状況打開に向け、国の認可法人、電力広域的運営推進機関(東京)は昨年10月、北電側やプラント設置者が費用を負担して道東の送電線を増強する方針を発表。2カ月ほどでまとまるとみられた具体的な工程はまだ示されていない。増強の設計を担う北電ネットワークは「現地調査などに時間がかかる」と説明する。

 帯広市の畜産農家19戸でつくる川西バイオマスはプラント建設計画を18年に策定したが、北電と契約できず、建設のめどが立たない。プラントを前提に経営規模を拡大した農家もあり、経営に支障が出かねない。同社の野原幸治社長は「一刻も早く送電線の増強計画が進んでほしい」と話す。(幸坂浩)


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