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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ

3966とはずがたり:2019/09/12(木) 12:40:21
>>3965
代表的なプロジェクトは、米国の北東部マサチューセッツ州とカナダの南東部ケベック州を結ぶ「New England Clean Energy Connect」である。最大120万キロワットの容量で2つの地域を結ぶ計画だ。カナダの安価な水力発電の電力をより多く米国に供給できる一方、米国内で風力・太陽光発電の電力が増加した場合にはカナダに送って需給調整を図る。
もう1つの重要な対策は電力の貯蔵である。現在のところ米国で最も多く使われている貯蔵方法は揚水発電だ。2017年の時点で2280万kW(22.8GW)の容量がある。大きな容量だが、日本の揚水発電(2760万kW[27.6GW])と比べると小さい。

新たな電力貯蔵の方法として、蓄電池が状況を一変させる可能性がある。
蓄電池のコストが劇的に低下して、これまで需給調整に使われてきた火力発電や揚水発電と比べて競争可能な状況になりつつある。

風力や太陽光と蓄電池を組み合わせて、需給調整力の点でもガス火力と比べてコスト競争力の高いプロジェクトが出てきた。電力会社のXcel Energyが2017年末に実施した入札では、補助金がつく条件ながら、風力+蓄電池が2.1セント/kWh、太陽光+蓄電池が3.6セント/kWh(いずれも入札価格の中間値)という記録的な低さになっている。今後さらに蓄電池のコスト低下が進み、火力発電よりも有効な需給調整手段として使われる可能性が高まってきた。
電力貯蔵の分野では、カリフォルニア州の取り組みが政策面で最も先行している。過去10年間に、2つの法案(Assembly Bill 2514、同2868)と支援策のSGIP(Self-Generation Incentive Program、自家発電促進プログラム)を実施した。2013年のAB2514により、CPUC(California Public Utilities Commission、カリフォルニア州公益事業委員会)がカリフォルニアの大手電力会社3社に対して、2020年までに合計132.5万kWの電力貯蔵能力を調達するように命じた(設置完了は2024年)。その3社はPacific Gas and Electric(PG&E)、San Diego Gas and Electric(SDG&E)、Southern CaliforniaEdison(SCE)である。各社ごとに送電網・配電網・利用者側の目標値が定められている。
2017年2月の時点で3社を合わせて47.5万kWの調達が完了している。

さらに2016年に成立したAB2868により、3社は分散型の電力貯蔵設備を最大50万kW追加する対策を求められた。分散型の電力貯蔵設備を配電網に接続するか、利用者のメーターの内側に電力貯蔵設備を設置する必要がある。
自家発電促進プログラムのSGIPにおいても、インセンティブを得るための手段の1つとして電力貯蔵システムの利用が認められている。…

4.電力市場への影響

米国では最近2年間の卸電力の価格が極めて低い水準で推移した。…さらに石炭火力発電に対する厳しい環境規制(特に発電所からの排出量を制限する「Mercury and Air Toxics Standards」の施行)が加わり、わずか7年間で全米の半数以上の石炭火力発電所が廃止に追い込まれた。
2017年10月の時点で262カ所の石炭火力発電所が2010年以降に廃止あるいは廃止決定の状態になった。残っているのは261カ所である。しかも運転中の石炭火力発電所のうち、2017年に収入が経費を上回って利益を稼いだのは半分だけだった。

原子力発電所も同様だ。
2017年の時点で米国には99基の原子力発電所(合計で約1億kW)が稼働しているが、そのうち半数以上が赤字に陥り、合計で29億ドルにのぼる損失を計上した。利益を出せなくなった原子力発電所の廃止が各地で始まっている。
2013年以降に5カ所の原子力発電所で6基が閉鎖された。さらに9カ所の12基は計画よりも早く閉鎖が決まった。

石炭火力と原子力に依存してきた電力会社は厳しい状況に追い込まれている。象徴的な例は、破たんした大手のEnergy Future HoldingsとFirstEnergyの2社である。テキサスで最大の電力会社だったEnergy Future Holdingsは、2014年に破産を宣告した。所有する1500万kWを超える発電設備のうち約3分の2が石炭火力と原子力だったため、コストの安いガス火力や風力と競争できなくなったことが要因だ。一方のFirstEnergyは2018年に入って破産を宣告したが、その理由は3カ所の原子力発電所を抱えるグループ内の発電事業会社の業績悪化にあった。

いまや石炭火力と原子力の発電所は補助金に頼らなければ生き残れない状態だ。例えば米国で最大の原子力事業者であるExelonは、15カ所の原子力発電所のうち4カ所で補助金を受けて運転を続けている。…
米国全体の発電・燃料事業の雇用者数を見ても、石炭の17万人に対して、太陽光は2倍以上の35万人に拡大している(図24)。原子力は7万人に過ぎず、風力の11万人よりも少ない。

ガス火力も安泰ではない。ガス火力に依存してきたNRG Energyの発電事業会社GenOnが2017年に破産した。…


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