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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ

3675とはずがたり:2018/10/30(火) 12:21:27
 ドイツでは、2004年に買い取り価格を見直したことで、再エネの機運が一気に高まり、メガソーラーだけでなく、家庭用も急増。翌年には、一歩抜きん出ていたはずの日本の太陽光発電の電力量を抜いてしまった。

 この買取制度はドイツでは多大な功績を残したが、制度設計だけを他国でそのまま同じように当てはめてもうまくいかない。それはスペインで実証済みだ。

 EUのなかで、スペインは積極的に再生エネルギーを取り入れてきた国。1994年にFIT制度により、風力発電を中心として再エネが急増。さらに99年からFIP(Feed-in Premium)制度を選択できるようになり、2016年の総発電電力量に占める再エネ割合は38.6%にのぼり、そのうち1割を太陽光が占めるほど存在感を増した。

 しかし、電力の買い取り制度に無理が生じ、電力会社の累積赤字が拡大。なんと2013年には、FIT制度そのものを廃止してしまい、太陽光発電の成長は一気に鈍化。その成長率は完全にストップした。これに似たような状況にあるのが現在の日本だが、同じ轍は踏まないと信じたいものである。

太陽光よりも風力発電が向いていたイギリスの試行錯誤

 次は風力だ。風力発電は、風が乱れずに一定に吹き、風力発電機を設置しやすい場所がある地域が向いている。そういう場所なら、グレードが低い発電機でも壊れにくいからだ。発電機は、人家から遠くて広い平地がある場所や、遠浅の海が設置しやすい。

 この風力発電に強いのがイギリスだ。日照時間が短いため太陽光発電には向かないが、広い遠浅の北海を持つイギリスにはマッチしたのである。

 イギリスでは2002年から電力小売り事業者に、販売電力量のうち一定比率の再エネ電力導入を義務付けるRO(Renewables Obligation)制度を導入、さらに2010年にはFIT制度を導入していたが、国民の負担が増大。2015年にはCfD(Contract for Difference/差額決済契約)を導入し、市場競争原理を取り入れることで国のコストを抑えられるようになった。

 ちなみに、海外の再エネの主力は風力発電である。その風力発電が世界で最も伸びているのは、実は中国だ。「欧州が年率10%の伸びなのに対し、中国は2015年時点で太陽光発電が年率50%、風力発電でも年率30%で伸びている」と三菱総合研究所・環境エネルギー事業本部の井上裕史主席研究員は言う。政府の後押しで発電量が増えているにもかかわらず、送電設備が供給に見合うほど整っておらず、「棄電」(ロス電力)が問題になっているほどである。

 もちろん、日本にも風の良い地域はある。たとえば北海道は風力発電に適しているものの、最も電力使用量が多い東京に供給できないため、発電しても電力が余ってしまう。東北なら距離的にも期待できるのだが、沿岸部の海底深度が深いことがネックだ。

北欧地域が電力の大部分を水力発電で賄える理由

 さて、日本でも身近な再エネと言えば、水力だ。とはいえ、IEA(国際エネルギー機関)の2017年のデータによると、発電供給量の割合では10%に満たず、欧州で水力発電が特に盛んな北欧地域には遠く及ばない。アイスランドで7割強、スウェーデンで約5割、ノルウェーに至っては約9割が水力発電である。

 オーストリアやスイスも水力発電の割合が高い。要は、起伏の激しい土地で、かつ発電に使える河川の多さが影響するのだ。自然に恵まれた環境にある国では、水力発電がやりやすいというわけである。

 また、渇水になったときも、北欧4ヵ国は「ノルドプール」という国際連携電力取引市場があるため、他国から電気を輸入できる。北欧が供給の不安定な再生可能エネルギーに突っ走れる背景には、そうした事情もある。


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