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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ
3086
:
とはずがたり
:2017/11/14(火) 16:36:18
>>3084-3086
第2に、「再生可能エネルギーの導入拡大に伴う系統安定化費用を誰が負担するのか?」という点についても議論になっている。
太陽光発電や風力発電は発電周期が安定せず、また大規模なものは一般的に需要が乏しい山間部や田園地帯で発電が行われるため、大量導入をするためには地域間連携線(各地域の電力会社の送電網を相互につないで電力をやり取りする設備)を大幅に拡大する必要がある。
http://tohazugatali.dousetsu.com/img_d2a84a15559ec354caed1ebb2e83b4e6231365.jpg
地域間連携線の補強費用について(出所:資源エネルギー庁資料)(■とは註→此処の工夫が政治の役割だろう。官僚や電力会社はほっといてもいい案を出してこないだろう。だいたい東通原発から東電管内迄電力引っ張ってくる心算であったのに増強はどうなってたんだ??秋田から首都圏へ大規模な送電が計画されてるけどその辺と計画を合わせればこの試算程かからないんちゃうか。)
この点、北海道と東北で地域間連携線を実際に増強した場合の具体的な資産が出ているのだが、1兆1700億円とかなり大きな投資額になっている。加えて維持管理費の936億円も発電1kWhあたりに換算すると9円とかなり高額になる。これを仮に需要家が負担した場合、現在の各家庭向けの電気料金が24円/1kWhなので、40%の値上げということになる。さすがに再エネの導入拡大だけのためにこのような負担の受け入れを国民に強いることは政治的に困難であろう。そのようなわけで「北海道と東北地域での設備の増強は困難」という経済産業省の政治判断が透けて見える。
第3に、一定の制限(いわゆる接続可能量)を超えた太陽光発電からの電気については「当座は、太陽光発電の大量導入は国のエネルギー戦略にもあわず、系統網増強による需給の一致も困難で使い道がない」ということで、出力制御の具体的な方法が検討されている。
この点、細かい議論になるが、現在太陽光発電の出力制御の方式に関して30日を上限として日単位で管理される「旧ルール業者」と、無制限に時間単位に制限される「指定ルール業者」が存在しており、両社の公平性をどのように保つか、ということが大きな論点となっている。現在の議論の方向性としては30日という上限がある旧ルール業者を優先的に出力制御し、結果としての出力制御が公平になる方式が検討されている。
もちろん出力制御の方式は個別の事業者に大きな影響を与えるものであるが、いずれにしろ太陽光発電、風力発電業界全体として売電できる総量は変わらないわけで、再生可能エネルギーの導入における風力発電・太陽光発電の追加導入は難しそうな状況になっている。
第3のプレイヤーは農林水産省?
このように太陽光発電の上乗せによる再生可能エネルギー導入拡大という道は封じられつつある。そうすると「再生可能エネルギー30%の道はないのか?」ということになるのだが、この点再生可能エネルギーの先進国のドイツの状況が参考になる。
ドイツの再生可能エネルギー比率は24%とかなり高い水準になるのだが、その内訳は多い順に風力発電が8%、続いてバイオマスが7%、そして太陽光が5%となっている。前述の通り太陽光発電と風力発電の導入については日本では2010年のエネルギー基本計画値以上の伸びは期待できないが、ベース電源に近しい生活を持つバイオマス発電については、計画値では2.1%と低い水準が当てられており、伸びしろが高い。
http://tohazugatali.dousetsu.com/img_830488539e5b74eb07276f7def9d8a2072718.jpg
ドイツの再生可能エネルギー
(出所:「ドイツから何を学ぶか 〜望ましい電源構成に向けて〜」
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/004/pdf/004_09.pdf
東京大学生産技術研究所エネルギー工学連携研究センター副センター長 特任教授 金子祥三)
そんなわけで今後の再生可能エネルギー政策の展開に関して、第3のプレイヤーが浮かび上がる。それはバイオマス産業と関わりが深い林業を所管する、農林水産省だ。
実際バイオマス発電は固定価格買取制度の下では太陽光発電に次ぐ容量が認定されており、その勢いは徐々に増している。また林業再生と耕作放棄地問題に悩む農水省にとって、森林組合の副収入、エネルギー作物の作付といった観点でバイオマス発電の拡大はありがたい。
農林水産省が環境省の側につくのか、経済産業省の側につくのか、浮かんできた再生可能エネルギー政策の陰の主役から目が離せなくなってきている。
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