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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ

2899とはずがたり:2017/03/28(火) 18:14:31
>>2897-2899
 先ほど紹介したノルウェーとの長距離の連系線(濃い青)を最も活用しており、輸出量は最大1500MWにも及ぶ。

 ドイツとの間をつなぐ連系線は状況が異なる。ドイツ西部からは終日輸入、ドイツ東部からは1日の前半が輸入、後半は輸出に変化している。スウェーデンとの間でも似たような状況になっている。北向きには終日輸出、南向けには前半がほぼ輸出、後半がわずかな輸入だ。

 さきほどデンマークを電力の貿易港に例えた。これは図6の状況の比喩だ。おおまかな流れはドイツで余った電力はデンマークを経由してノルウェーに送っている。これはノルウェーが保有する巨大な揚水発電所の蓄電能力を生かした運用だ。

 12月1日のグラフには現れないものの、風力発電の出力が低い状況が続くと、ノルウェーに「預けた」電力をデンマークが引き出す様子も見て取ることができる。

短時間の変動も吸収

 図6から分かることがもう1つある。短時間で連系線の容量を使い切ったり、減らしたり自在な運用を生かしていることだ。それどころか、短期間に送電方向を逆向きに切り替えている。輸出から輸入へ、また輸出へ。自由自在だ。

 日本国内では連系線を利用する場合、最短でもスポット市場において翌日分の容量を確保できるにすぎない。これでは風力の変動を吸収することは難しい。

 デンマークでは当日も市場メカニズムを利用して動的に連系線を運用している。その結果が、図6で複雑に揺れ動く利用量の変化となって現れている。

 連系線を利用する場合、電力の量だけではなく、複数の系統間での電力の価格も考慮しなければ、最適な調達ルートが決まらない。このような複雑な判断が必要であっても、デンマークでは柔軟な対応ができている。従って次の神話は誤りだ。

神話7:連系線は短時間の変動を吸収できない

日本の電力システムにも役立つ

 デンマークの状況から分かることは何だろうか。大規模な国際連系線を建設し、運用できれば、火力発電所の規模を抑えながら、風力発電を大量導入できることだ。

 デンマークは5本の主要な国際連系線に加えて、新たにオランダと結ぶ連系線を建設することが決まっており、英国との間にも連系線を計画中だ。国際連系線を増やすことで、より一層安定した低価格の電力を調達する計画だ。デンマーク国内に建設する洋上風力発電所は世界で最もコスト競争力がある(関連記事)。これを輸出してもよい。

 日本国内の電力会社と比較すると、デンマークの規模は北海道電力とほぼ等しい(北陸電力、四国電力ともほぼ等しい)。つまり日本に置き換えて考えれば、海外を結ぶ連系線を増強しなくても、国内間で同様の取り組みを進める余地がある*5)。

 日本国内で再生可能エネルギーを利用した発電の比率を高めるには、この後、どのような取り組みを考えればよいだろうか。連系線を増強する一方、リアルタイムに近い運用が可能な仕組みを作り上げることだ。同時に国際連系線の取り組みを始めることだろう。

*5) 再生可能エネルギーの大量導入を問題なく進める方法は、(国際)連系線だけではない。欧州内で再生可能エネルギー由来の発電量が大きな国でも、連系線の比率が低い場合がある。デンマークやドイツが連系線にほぼ頼っている一方、スペインやポルトガルはいずれも国際連系線に乏しく、水力やガスタービンで細かく調整する手法を編み出している。アイルランドはガスタービンだ。


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