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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ

2602荷主研究者:2016/12/30(金) 12:28:01

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00411522
2016/12/26 05:00 日刊工業新聞
深層断面/秋田の風、秋田のために 風力発電で“富を循環”

http://tohazugatali.web.fc2.com/epower/img2_file585d73526ac88.jpg

地元が奮起、地域再生の羽根回す

 「秋田の風を、秋田のために生かす」。風力発電事業にかける秋田県の企業経営者たちの思いだ。強い風が吹く同県には全国トップ級の190基の風車が稼働するが、ほとんどを県外企業が所有し、売電収入の利益が県外へ流出している。自ら風車の建設に乗りだした県内企業は、風がもたらす富を秋田にとどめ、風力を地域経済再浮上の起爆剤にする。(編集委員・松木喬)

1日に稼働した風の松原自然エネルギーの風車(能代市)

 1日、能代市で風車17基が運転を始めた。地元9社と市が出資する「風の松原自然エネルギー」(能代市)が運営する風力発電だ。

 9社は風車の素人ばかり。その1社の大森建設(同)は約15年前に一度、県外企業の風車の基礎工事に携わった。同社の大森三四郎社長は「厄介者の風で発電事業ができる。いいなと思ったが、高嶺の花だった」と振り返る。風力発電事業は投資額が大きく、事業は長期に及ぶことから投資回収リスクがある。地元企業が手を出せる事業でなかった。

 転機は2012年7月、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の開始だった。20年間、発電した電力を同じ価格で買い取ってもらえるため参入障壁が下がった。早速、県が風力発電事業者に貸し出す県有地の抽選に応募。高倍率だったが当選した。

 喜びつつも「地元の風を1社で独占していいのか」と思い、8社と市に呼びかけて風の松原自然エネルギーを設立。能代市民からも出資を募ろうと、窓口となるファンドを作った。銀行からも資金を調達し、事業費160億円を用意できた。

 風車は日立パワーソリューションズ(茨城県日立市)が建設し、電力会社への売電で得た利益は出資する9社と市、市民で分け合う。「地元の風を地元に生かせる。20年間の発電事業は新入社員のためにもなる」と目を細める。売電は経営の支えとなり、新入社員の将来への不安を取り払う。風力発電は次世代への投資だ。

 男鹿市でも県内企業による風力発電が始まった。石材加工・施工業の寒風(男鹿市)と4社が出資する「風の王国・男鹿」の風車4基が11月、稼働した。

 計画当初の12年、資本金は300万円だった。寒風の鈴木博常務は「本当に地元だけでやれるのか」と不安だった。次第に出資者が増え、資本金を4000万円に増額できた。銀行からも資金を借り、運転にこぎ着けた。

 売電収入があっても「本業をしっかりやりながら納税し、地域に貢献する」と語る。売電も含めた税金が住民サービスに回って地域に活力が生まれれば、地元企業の仕事も増える。勢い良く回る風車で地元に“富の循環”を作る。

【銀行も危機感】
 秋田県は全国最速で人口減少が進む。ここ10年間は年1万人以上のペースで減り、100万人割れが目前。地域経済を支えた非鉄鉱業や石油産業が撤退や縮小し、県内総生産は東北6県で最低、全国でも下位に沈む。

 地元の金融機関も危機感を抱く。貸し先が細る一方だと地域のお金の流れが滞り、地盤沈下に拍車がかかる。停滞から抜け出そうと、地元銀行も巨額資金が必要な風力へと舵を切った。

 北都銀行が音頭をとって12年、風力発電専業のウェンティ・ジャパン(秋田市)を立ち上げた。同社の佐藤裕之社長は「20年前、秋田に戻った時、疲弊ぶりにがくぜんとした」と振り返る。

 佐藤社長は東京でIRコンサルタントをしていたが、自分の手で事業をしたくなって実家の羽後設備に入社した。08年、風力発電を検討したが「費用がかかり、非現実的」と思いとどまった。


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