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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ
2329
:
とはずがたり
:2016/08/19(金) 11:42:42
太陽光で「自衛」するオーストラリア国民
日本の国土の20倍に及ぶオーストラリアで、なぜ住宅の屋根を用いた太陽光発電システムに勢いがあるのか。理由は電気料金だ。
オーストラリアの卸電力価格は、非常に低い水準にある*2)。同時に家庭用電力料金は非常に高い。
するとどうなるか。太陽光によって得た電力を売電しても得られる利益は少ない。高額な電気料金支払いを削減する方がよい。自家消費が圧倒的に有利な状況だ。
それでも夜間には高い電力料金を避けられない。そのため、2015年には家庭向け蓄電池を複数の企業が製品化し始めたほどだ。オーストラリアにおける蓄電池の利用は、既に導入が進んでいるギリシャや日本、スウェーデンの水準に急速に追い付いているとした。
*2) オーストラリアは電力市場を高度に自由化しており、政府の介入を受けていない。系統は複数あるものの、人口が集中する東部の系統は単一だ。全ての発電事業者と小売事業者は電力市場に参加しなければならない。発電事業者は電力量と価格を提示して、市場で入札に掛ける。市場では翌日の想定需要量に基づいて入札が進み、価格が低い電源から落札。次第に落札価格が上がっていき、最後に落札した価格が卸電力市場価格となる。このような仕組みを採っているため、卸電力価格水準が低い。しかし、需給バランスが崩れた場合、通常の数百倍という非常に高い価格に決まることがあるため、事業者はリスクヘッジをしなければ経営上危険である。この他、高額な託送料や炭素税の負担などにより、小売料金が急騰した。現在、オーストラリアの家庭用電力料金は世界で最も高い水準に至ってしまった。
石炭火力からの離脱を目指す
オーストラリアがこのような状況を受け入れるに至った理由の1つが石炭火力だ。
オーストラリアは2014年時点で世界第2の石炭輸出国(2014年)。4億7000万トンを採掘し、3億8000万トンを輸出する。2013年時点で石炭火力の年間発電量は1億6100万kWhに上る。これは総発電量の71%に相当する規模だ*3)。
オーストラリアは1人当たりの二酸化炭素排出量が世界最高水準にあり、石炭火力依存を減らすことが強く求められている。政府が選んだのは再生可能エネルギーへの転換だ。当初は2020年までに電力の20%を再生可能エネルギーから得る計画を打ち出していたが、2015年には3ポイント上積みして、23%に変更した*4)。
化石燃料に頼り続けることはできないものの、あまりにも急激な政策推進が、電気料金に一時的なあつれきを引き起こした形だ。
*3) 国際エネルギー機関(IEA)が発表した「2015 Key World Energy Statistics」による数値。
*4) 同国は電力源の種類ごとの目標は定めていない。さらに州ごとに2020年時点の目標が異なる。ビクトリア州(人口560万人)は20%、サウスオーストラリア州(人口170万人)は50%、北海道より一回り小さな島からなるタスマニア州(人口50万人)は100%だ。
太陽光市場の中核は中国、日本、米国
オーストラリアからを離れて、全世界の状況に目を移してみよう。
GSR2016によれば、2015年、太陽光の新規導入量は50GWに達した(図2)。これは一般的な太陽電池モジュール(出力270W)に換算すると1億8500万枚に相当する。累計導入量は227GWである。
http://tohazugatali.dousetsu.com/yh20160609REN21_aadd_590px.png
図2 太陽光の新規・累積導入量 2015年には50GWを導入して、累積227GWに達した。出典:REN21
ここ数年ではっきりしてきた傾向がある。欧州など先進国に集中していた需要が、全世界に広がり、新興市場が出現していることだ(図3)。2015年末までに南極大陸を除く全ての大陸で、新規導入量が1GWを超えた。加えて、少なくとも22カ国で1GWを上回った。
http://tohazugatali.dousetsu.com/yh20160609REN21_invest_590px.png
図3 先進国と発展途上国の再生可能エネルギーに対する投資額 太陽光では途上国の投資額(単位10億米ドル)が先進国とほぼ等しい水準に達した。新興市場の現れだ。出典:REN21
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