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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ
1903
:
とはずがたり
:2016/02/12(金) 20:55:10
>>1902-1903
「国産材の最大の消費者」だという日本製紙の原料本部長付部長の松本哲生氏は、木材供給力の増加ペースに合わせてバイオマス発電を認可する必要があると指摘する。発電向け木材需要の増加により「原料価格が上がったからといって紙の値段を上げても買ってくれる人はいない」と、木材価格高騰の難しさについて明かした。
日本製紙も木質バイオマス発電事業を手掛けている。同社エネルギー事業本部長の堀川洋一氏は、バイオマス発電は太陽光や風力と異なり燃料がなければ事業は成り立たないと指摘。政府の制度では発電した電力の買い取り価格が20年間固定されているため、バイオマス発電事業では燃料価格の変動が事業のリスクになっているとの考えを示した。
石炭火力でも混焼
さらに今後木材の需給を逼迫(ひっぱく)させる要因として、石炭火力発電所でのバイオマス燃料の混焼が加速する可能性が指摘されている。昨年12月に第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で温暖化対策の新しい枠組みとしてパリ協定が採択され、石炭だけを燃やす火力発電所に対する風当たりが今後さらに強まることが見込まれるためだ。
農林中金総合研究所の安藤範親研究員は、電力の買い取り価格を基準に判断すると発電事業が成り立たないような割高な木材の燃料でも、それを「買い取れる余力があるのが火力発電所」と指摘する。大量の燃料を必要とする石炭火力発電所が周辺の山林からチップなどを買い尽くし「木質バイオマス発電所をつぶしにかかる可能性がある」と話した。
バイオマス発電の拡大に伴い、おがくずなどを圧縮して成型した燃料である木質ペレットの輸入も急速に伸びている。財務省の貿易統計によると、15年の木質ペレット輸入量は前の年の2.4倍に増え過去最高の約23万トンとなった。
昭和シェル石油は出力49メガワットと、木質バイオマス専焼としては国内最大級の京浜バイオマス発電所の営業運転を昨年11月に開始。年間20万トンという大量の燃料を必要とするため、安定的な調達を見込める北米産の木質ペレットなどを燃料として想定している。
物流コストがネック
同社の柳生田稔執行役員は昨年11月、地域の活性化という買い取り制度の趣旨を考慮すると「国内材を使うのが一番美しい姿というのは十分理解している」と記者団に語った。しかし、国内には大規模に木質ペレットを生産できる会社がなく、また大量の未利用材や木材チップを国内の山地から輸送してくることは物流コストが「あまりにもかかりすぎて全く採算が合わない」とし、「結果的に海外から持ってこざるを得ない」と述べた。
日本木質バイオマスエネルギー協会の熊崎実会長は、こういった状況を踏まえて「日本のペレット市場は海外から虎視眈々(たんたん)と狙われている」と話した。これまでペレットの需要は欧州が中心だったものの、温暖化ガスの排出削減のために今後はアジアでも需要が伸びると見込まれおり、海外からは日本も「大量に輸入せざるを得ないと見られている。先行する韓国ではもうかなり輸入している」と述べた。
米国商務省国際貿易局のリポートによると、韓国は12年に一定量以上の再生可能エネルギー利用を事業者に義務付ける制度を導入した結果、バイオマス利用と木質ペレットの需要が急拡大した。韓国関税庁のデータによると、14年の韓国のペレット輸入量は前年比約4倍増の185万トンとなった。12年との比較では10倍以上に増加した。
供給増の見込みなし
英エネルギー調査会社アーガス・メディア日本支局代表の三田真己氏は、バイオマス専焼用と石炭との混焼用を合わせた国内の燃料向け木材需要は、30年度に木質ペレット換算で約3350万ー4070万トンになると試算する。主産物である製材合板需要で現状の減少傾向が続くと想定すると、その副産物であるバイオマス向けの木材供給が今後急速に伸びることは考えにくい。
日本でもペレットを含むバイオマス燃料の輸入が今後さらに増える可能性は高いが、バイオエナジーの梶山氏は地域産業の活性化などの観点からすれば「本末転倒」と指摘する。梶山氏は、バイオマス発電はエネルギー効率が約2割と低く、資源の有効活用の観点からは排熱の有効利用が欠かせないと指摘。バイオマス発電だけを「無理してやる必要は全然ない」と話した。
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