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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ

1751とはずがたり:2015/08/23(日) 23:40:02
>>1749-1751
 しかしながら各地の太陽光発電の接続可能量は限界に近付いており、2014年末に北海道電力、東北電力、北陸電力、四国電力、中国電力、九州電力、沖縄電力が「指定電気事業者」となってしまった。その結果、事実上メガソーラーの新規案件の組成が可能なのは、東京電力、関西電力、中部電力、という3大都市圏のみという状況になっている。この辺からもメガソーラーの黄昏が透けて見える。

 話はそれたが、こうした状況の中で経済産業省は、以下の変更を加えた。
(1)出力制御を500kW以下の小規模の太陽光発電・風力発電にまで広げた。
(2)太陽光発電・風力発電に関する無補償の出力制御期間の原則をそれぞれ「30日」から「太陽光発電は360時間、風力発電は720時間」と、時間単位に変更した。また、指定電力事業者に関しても出力制御の単位を日単位から時間単位へと変更することを義務付けた。
(3)一方で、再エネ供給事業者が蓄電池に電気を貯めることで出力制御を回避できることを明確にした。

 一部にはこうした措置を「再生可能エネルギーいじめ」などと批判する声もあるようなのだが、これらの制度改正はいずれも接続可能量の拡張を狙ったもので、このような批判をしてもあまり意味がないように思える。

 いずれにしろ賽は投げられてしまったわけで、ほとんどの電力会社が指定電気事業者と化してしまった今となっては、太陽光発電については「無制限に時間単位で出力制御される」という「指定ルール」を前提に新規のプロジェクトを検討することが不可欠となる。こうなると、採算性を改善するには出力制御の抜け道である蓄電池を導入してうまく使っていくことが不可欠となる。

 単純には「出力制御されている間は蓄電池に電気を貯め、制御が解除されたら出力する」という使い方が考えられる。だが、現状では蓄電池のコストが高く(1khあたり5万円、耐用年数が10年、容量劣化率60%が相場とされる)、それだけでは効果が認められないことが予測される。今後とも買取価格が下がっていくことも考えると、蓄電池を利用した2次的な効果が求められることとなる。そうなると、例えば電気料金が安い夜間に電気を貯めて昼に使い電気料金を削減する「ピークシフト」などの取り組みにも、蓄電池の利用が可能な住宅向け太陽光発電の競争力が増してくるだろう。

 併せてその他の風力・水力・地熱・バイオマス電源についても出力制限のルールが発表されたが、これも明暗が分かれた形となった。水力発電と地熱発電はベースロード電源として出力制御の対象外とされた。一方、風力発電とバイオマス発電(一部除く)は出力制御の対象となることが明確化された。これによりピークシフトが容易なバイオマス発電はともかく、大型風力発電も、近い将来メガソーラーと似たような運命をたどることが確実視される状況となった。

再生エネ市場は全体最適を目指す第2段階に

 ここまで見てきたように今回の経済産業省の制度改正は再生可能エネルギー市場の今後に重大な影響を与える「大改正」であった。

 改めてその影響を簡単にまとめると、以下のようなところである。

(1)メガソーラーの権利転売ビジネスは、制度改正とともに間もなく消滅することが余儀なくされた。
(2)各地域の「指定ルール」への移行とともに、メガソーラーと大型風力発電のビジネスも細っていく。
(3)蓄電池導入との相乗効果が認められる住宅向け太陽光発電は「指定ルール」に移行しても伸びが期待できる。
(4)バイオマス発電は調整電源として、水力発電と地熱発電はベースロード電源として活用していく方針が明確化された。

 これまでは大きなビジョンがなく太陽光発電に偏重する形で導入が進んだ我が国の再生可能エネルギー市場であるが、今回の制度改正は経済産業省が電力事業者にも再エネ供給事業者にもバランスを求めたものであった。

 我が国の再生可能エネルギー市場は「各々がとにかく発電すればよい」という初期の段階を超え、それぞれの主体が公共財としての電力系統を意識して全体最適を目指す第2段階に入った。


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