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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ

1317とはずがたり:2014/08/18(月) 10:31:00
>>1316-1317
なぜ問題が放置されてきたのか

 地熱発電所の出力が低下していくことが長年月の運用によって分かっていたのに、なぜ対策が進んでいないのか。「地熱発電研究に対する国の予算措置は、昭和の中ごろから始まったが、ここ10年間が止まっていた。理由は複数ある。多額の資金を投資したのにもかかわらず、地熱発電所を数カ所(5カ所)しか新設できなかったことが1つ。もう1つは約10年前に政策上、原子力に開発資金を投入することが決まり、地熱への資金がなくなったことだ。ただし、311の後、原子力のような危険なエネルギーよりも地熱などの方が好ましいということになり、足元を固める今回の予算措置に至った」(資源エネルギー庁)。

 今回の予算措置というのは、新規に予算措置が取られた2013年度の「地熱発電技術研究開発事業」の9億5000万円だ。開発事業は3つあり、そのうち、今回の「地熱貯留層評価・管理・活用技術開発」に約3億円を割り当てる*1)。

*1) このほか地熱貯留層探査技術開発に2億円、高機能地熱発電システム技術実証開発に4億5000万円を使う。

どのような技術を開発するのか

 今回の予算では、図2のうち、涵養井を使った出力低下抑制技術を開発する。図2にある還元井は国内では1カ所を除く全ての地熱発電所で実施中だ。取り出した熱水をほぼ全て地中に戻しており、これ以上拡大する余地がない*2)。

 実施するのは、今回の事業の公募に応じた冒頭の柳津西山地熱発電所。

 JOGMECは、3つの団体に技術開発を委託する。柳津西山地熱発電所で蒸気供給を担当している地熱技術開発は、全体計画・設計と貯留層挙動予測を担う。全体計画には地質調査によって、涵養井の位置を決める役割が含まれており、貯留層挙動予測として数値シミュレーションを実行する。奥会津地熱は建設・工事を担当する。試験設備の設計・工事の他、人工涵養試験を進める。涵養井を1本掘り、そこに河川水を流し込む。河川水にはトレーサーを混ぜ込む。注入してから生産井に到達するまでの時間や規模などを計測するためだ。産業技術総合研究所は地質調査とモニタリングを実行する。蒸気の圧力や重力を測定する。地熱貯留層に含まれる水の比率が変化すると、重力の値がごくわずかに変化する。これを検出して見えない地中を見通す。

 2013年度と2014年度に試験設備の設置を終え、2015〜2017年度に実証試験を進める。5年間の技術開発だ。

*2) 熱水にはさまざまな鉱物、化学物質が溶け込んでいる。このため、熱水の温度を下げたとしても排水が環境基準をクリアすることができないという理由もある。

実は出発点が違うのでは

 地熱資源の枯渇を防ぐ方法として、先ほど3つの方法を紹介した。発電所の出力規模の計画、熱水の還元、人工的な水の涵養だ。今回の技術開発ではどうすればうまく水を涵養できるかを調べる。

 しかし、発電所のそもそもの出力規模の計画にずれがあると、還元・涵養を進めたとしても、期待した出力に至らない可能性がある。

 新しい地熱発電所を計画する際には一般的に以下のような手順を経る。地表調査を終えた後、約4年をかけて坑井調査、噴気試験、総合解析を進める。坑井調査では調査井の他、生産井や還元井も掘る。噴気試験では熱水・蒸気の量を測定する。

 最も難しいのが総合解析だ。まず、坑井調査や噴気試験で得た蒸気・熱水や熱の推定値を取り入れ、貯留層の数値モデルを作る。その後、地中をある大きさの3次元メッシュで区切り、初期条件と境界条件を与えて発電所を建設する前の熱水・蒸気の定常状態を求める。その後、生産井から取り出し可能な熱水・蒸気量を割り出す。

 ほぼ全ての地熱発電所がこのような手順を経て建設に至っている。問題は地中の様子が十分には分からないことだ。特に問題なのが熱水・蒸気を取り出した後、周囲から補給される水の量(速度)の推定値に幅があることだ。ここでもし、推定値の上限値を採用してしまうと、生産量を過大に見積もる結果に至る。「柳津西山地熱発電所は補給される水の量が不十分だろう」(資源エネルギー庁)。

 このような曖昧さを少なくする地熱発電所の開発手段もある。「九州大学教授の江原幸夫氏が提唱する『小さく産んで大きく育てる』という手法を採れば、予測の曖昧さを小さくできる。小規模な生産井で運用を始めると、(この値を使って水の補給量の見積もりを正確にできるため)、今後の地熱発電所の出力規模が適正になるだろう」(資源エネルギー庁)。


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