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バイオ燃料・エタノール・新エネルギースレ
1292
:
とはずがたり
:2014/07/22(火) 11:05:56
>>1291-1292
ttp://tohazugatali.web.fc2.com/epower/l_yh20140205Fraunhofer_graph_590px.jpg
図1 各種エネルギーを利用した発電所の均等化発電原価(LCOE) 出典:ドイツFraunhofer ISE
図1の縦軸は2013年時点のユーロの貨幣価値で表した発電量1kWh当たりのLCOE。1ユーロ=140円で換算すると、縦軸の0.10が14円に相当する。横軸は西暦だ。
橙色の縦棒がコンバインドガスタービン発電(2013年時点で0.098ユーロ/kWh以下)、紺色の縦棒が無煙炭(同0.08以下)、茶色が褐炭(同0.053以下)を示す。無煙炭は排出物が少ない高品位な石炭、褐炭は安価だが熱量が低く二酸化炭素排出量が多い石炭だ。
グラフの左下の隅を見ると、LCOEの値(0.08ユーロ/kWh)がコンバインドガスタービン発電と無煙炭の間にある。つまり2013年時点でも条件次第ではこれらを利用した発電所に太陽光発電が追い付くことも可能だ。条件の悪い一般家庭の屋根に設置した太陽光発電システムのLCOEは0.14ユーロ/kWh。これはドイツの平均的な家庭用電力価格(0.29ユーロ/kWh)を大幅に下回っている。これは初期投資費用を投じて屋根に太陽光発電システムを設置すると、発電期間内の電気料金が半額以下になることを意味する。
2030年になるとどうなるか。黄色い枠の右上を見ると、ガスタービン発電を下回り、平均的な無煙炭よりも安い。これは一般家庭の屋根に設置した場合との比較だ。最も条件のよい太陽光発電では褐炭の下限に等しい。つまり化石燃料に打ち勝つことになる。なお、石油火力は2013年時点で石炭火力よりも高価であり、0.13〜0.17ユーロ/kWhである。つまり平均的な太陽光発電よりも劣る。
陸上風力は既に化石燃料に勝っている
太陽光発電よりも効果的なのが、陸上風力発電だ。図1では外枠がない青で示されている。陸上風力発電のLCOEは2013年時点で0.05〜0.11ユーロ/kWhであり、条件がよいものは無煙炭やコンバインドガスタービンとも直接競争できる。太陽光発電と比較すると約3分の2程度のLCOEだ。Fraunhofer ISEによれば、陸上風力発電のLCOEはこれ以上下がらないものの、化石燃料側が上がるため、2020年に褐炭と競合できるようになるとした。
洋上風力発電はどうか。図1では紺色の枠を付けた薄青色で示した。洋上風力発電のLCOEは2013年時点で0.12〜0.19ユーロ/kWhであり、逆に太陽光発電よりも1.5倍程度高価だ。全負荷時間が年間2800〜4000時間と長いにもかかわらず、陸上風力発電とはLCOEで全く競合できない。Fraunhofer ISEによれば洋上風力発電の魅力は技術的にコスト低減の余地が大きいことだ。2030年時点では陸上風力発電の平均的なLCOEになんとか追い付くことができる。それでも太陽光発電よりは高価だ。
太陽光と陸上風力以外のメリットとは
LCOEを比較すると、太陽光発電や陸上風力以外の選択肢は少ないように見える。洋上風力発電はLCOEの値が大きく、コスト面で不利だ。バイオガス(図1の黄緑色)も0.14〜0.22ユーロ/kWhと高コストであり、LCOEが改善する傾向もない。
Fraunhofer ISEによれば、洋上風力発電は全負荷時間が長い。つまり、利用できない日が少ないということだ。バイオガスは制御性がよい。これはより大きな出力が必要になったときにすぐに応答できることを意味する。どちらも系統電力の安定性を保つ働きがある。
以上のようなLCOEの数値はどのような再生可能エネルギーをどの程度利用し、組み合わせていくのか、メニューを作り上げる際に非常に有益だ。日本はドイツよりも全天日射量が2割多い。風力発電の条件は大きく異なる。例えば洋上風力発電の建設コストはドイツよりも一部高価になる。国内でもさまざまな再生可能エネルギーについてLCOEの値を算出し、更新し、比較していく必要がある。
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