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Airline & Airport(航空会社・航空路線・空港)スレ

7269チバQ:2022/04/04(月) 11:01:07
 特徴的な利用者をご紹介したい。沖縄在住15年になる60歳代男性は、北海道の実家で入退院を繰り返す父の面倒を見に年に3回は利用する。容体の急変による急な手配が多く、直前ではANAの運賃に比べて数分の1となるピーチ利用は必須だと言う。

 北海道在住の30歳代女性は、沖縄にいる交際相手に会いに行くと言う。毎月交代で行き来しており、「国内最大の遠距離恋愛を実践しています」と笑顔で話をしてくれた。

 70歳代のご夫婦は札幌市に在住し、那覇との2拠点生活を実践する。1カ月に1回ペースで那覇に行き、賃貸マンションに滞在する。冬場の12月〜2月は長期で那覇に住む生活を6年続けているという。ピーチを使えば札幌市内から根室に向かうより沖縄へ行く方が安く、知っている人は実践していると言う。

■ビジネス客は極少、それでも搭乗率は88%の異様

 筆者は3月中旬、新千歳から那覇行きの便に搭乗してみた。この便は180人乗りの機内に158人の乗客がいた。搭乗率は88%に達する。

 Wi-Fiは未装備だが機内デジタルサービスでドラマやアニメなどの動画を見ることができるし、フライトマップで現在位置がわかる。海上が多い機窓だが、中国地方と九州ではマップと照らし合わせて地上を眺めることができる。本州を縦断し一気に南下する飛行ルートが新鮮で飛行時間は早く過ぎた。

 同路線の客室乗務員にも話を聞いた。この路線は、沖縄を拠点とする客室乗務員が担当するとのことで、週1回は同じ路線を乗務する。飛行時間が長いことから乗客とコミュニケーションをとることができる。北海道での沖縄物産店の展開を目指すビジネスマンや、沖縄で個展を開く北海道の画家など機内で会う固定客もいるという。

 これら搭乗者のインタビューからは、インバウンドを迎える前から日本人の移動に使われているということがわかる。手の届く運賃であれば、利用者は必ず存在するという見本のような路線だった。遠くて普段会いづらい人たちを結びつける役目も果たしていた。

■低運賃だからこそ、需要を取り込めるという自信

 ピーチが路線拡大という強気の戦略を採るのは、コロナ禍は必ず収まるという希望的な観測が前提にあるように感じる。ただ、コロナ禍であっても格安であるがゆえに移動需要の取り込みや掘り起こしを実現させるという自信がピーチにはある。

 確かに感染爆発で一時的に乗客は激減し、ピーチは苦境に立たされた。だが、感染状況が一段落すれば需要の回復も早い。格安だからこそ、その変動もまた大きいのだ。コロナ禍が過ぎ去るのをじっと待つだけでなく、こうした需要を取りこぼさないこともピーチが積極姿勢でいる理由になっていると感じる。

 ピーチは今年3月、就航開始から10年を迎えた。すなわち日本のLCCの歴史は10年にすぎない。世界で歴史あるLCCは創業から50年を超えたが、日本はまだ市場に受け入れられたばかりだ。有償旅客キロでの日本のLCC3社(ピーチ、ジェットスター、スプリング)のシェアは13%。各国平均の30〜50%までにはまだまだ遠い。逆に言えば、伸びしろがあるということだ。

 中・長距離LCCではJAL系ZIP Airに加え2023年下期にはANA系の第3ブランドAir Japanが就航し、国際線で新たな競争が始まる。20周年に向けて近距離から長距離まで全ての路線をカバーする和製LCCの役者が出そろった。LCCがコロナ後の航空需要を牽引することになる。

 ピーチが進めた路線拡充という種は、コロナ禍で小さな芽を出している。コロナ後に一気に花を咲かせ、実を結ぶことになるだろう。

 気兼ねなく飛行機に乗って旅行できる日が待ち遠しい。



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北島 幸司(きたじま・こうじ)
航空ジャーナリスト
大阪府出身。幼いころからの航空機ファンで、乗り鉄ならぬ「乗りヒコ」として、空旅の楽しさを発信している。海外旅行情報サイト「Risvel」で連載コラム「空旅のススメ」や機内誌の執筆、月刊航空雑誌を手がけるほか、「あびあんうぃんぐ」の名前でブログも更新中。航空ジャーナリスト協会所属。
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航空ジャーナリスト 北島 幸司


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