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Airline & Airport(航空会社・航空路線・空港)スレ

6455とはずがたり:2018/07/08(日) 12:55:50
>>6453-6455
●日航の脅威

 ANAが水面下でスカイマーク支援チームの矢面に立ってイントレピッドと激しい攻防戦を繰り広げたのには、もちろん理由がある。それは日航の脅威とスカイマークの羽田発着枠だ。

 6月29日、ANAの株主総会が開催された。総会で質問に立った株主の一人は「スカイマークはANAが目の敵にしていたはず。そんなスカイマークをなぜ支援するのか」と質した。この質問にANAの長峯豊之上席執行役員は「共同運航が目的だ。スカイマークの共同運航実現は、競合他社に対するわが社の優位性を強める」と、そのメリットを説明した。

 燃料コストの低減や堅調な旅客需要に支えられ、ANAの業績は目下好調だ。2015年3月期の連結営業利益は前期比38.7%増の915億円。今期は1150億円と過去最高になる見通しだ。
 
 競合の日航に対しても優位な戦いを展開している。公的資金の注入と会社更生法の適用で再生を果たした日航は、公正競争を歪めないよう「8.10ペーパー」で16年度末までの新規路線開設や新規投資が制限され、14年3月に実施された羽田国際線の拡張でもANAにより多くの発着枠が配分された。その結果、ANAは14年度国際線運航規模で初めて日航を上回った。

 また、すでに傘下に収めたAIRDO、スカイネットアジア航空、スターフライヤーに続き、1日36往復分の羽田発着枠を持つスカイマークも傘下に収めると、自社分を含め「ANAグループ」の羽田発着枠シェアは約6割になる。

 しかし、ANAと日航の経営体力差は歴然だ。15年3月期連結決算で、売上高こそANAは日航を凌駕したものの、営業利益915億円は日航の半分程度(日航の営業利益は1797億円)でしかない。過去最高予想の今期営業利益も日航のそれとは570億円もの開きがある(日航の今期営業利益予想は1720億円)。自己資本比率も日航の52.7%に対してANAは34.7%。

 ANAと日航は「国内航空2強」と称されるものの、その実「ANAは常に日航の脅威に怯える万年2位の存在」(業界関係者)でしかない。日航が「8.10ペーパー」の制約が解ける17年度に完全復活する前に、ANAはなんとしても咽喉に刺さった小骨のスカイマークを掌中に収めておく必要があった。

 例えば、主要路線の羽田―札幌線の普通運賃はANAと日航が同一の4万190円に対し、スカイマークは2万3900円から。ANA傘下のAIRDOは3万3790円で、ANA・日航より6400円安いもののスカイマークと比べると1万円近く高い。ANA・日航と比べるとスカイマークの運賃は半値に近い。この価格差がANAにとっては煩わしい。

 しかも、AIRDOなど新興エアライン3社をすべて傘下に収めたANAにとって、低運賃で何かにつけ小競り合いを仕掛けてくる喧嘩好きのスカイマークは、最後に残った目障りな新興エアラインだった。

●新たな課題

 ANA関係者は、「日航との競争優位の基盤固めをするためにも、スカイマーク潰しとスカイマークの羽田発着枠獲得はかねてからの裏戦略だった」と打ち明ける。つまり、ANAにとってスカイマークの経営危機は裏戦略発動の絶好のチャンスだったといえる。

 そのために、のらりくらりの時間稼ぎで「3社共同運航」交渉を潰してスカイマークに引導を渡し、今度は万全の準備を整えてスカイマーク支援に乗り出し、支援チームの矢面に立ってイントレピッドと熾烈な攻防を繰り返した理由もうなずける。

 ANAは今回の勝利で、長年の課題だったスカイマーク掌握の確実な道筋をつけた。半面、新たな課題も抱え込むことになった。それはエアバスと裏取引したといわれるA380の引き取りだ。同社は大型機から燃費性能に優れた中型機への転換を戦略的に進めてきた。そこへA380を導入すれば戦略に齟齬を来すほか、機材と路線のミスマッチが運賃値上げにつながり、ひいては日航との競争力弱化要因になる恐れもある。

「スカイマーク再建問題は決着したが、ANAにとってはこれからがスカイマーク掌握に向けての正念場になる」(業界関係者)

 これから始まるスカイマーク再建の行方が注目される。
(文=田沢良彦/経済ジャーナリスト)


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