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Airline & Airport(航空会社・航空路線・空港)スレ

5975チバQ:2016/11/28(月) 20:24:39
徹底してLCCモデルを追求するピーチ
ライアンエアーは欧州域内に70を超える「拠点空港」を持つ。ここには自社の飛行機を駐機させ、乗員が待機する。拠点空港を中心に同心円状に路線網を張り、短距離を1日に何回も往復することによって機体の稼働を高め、低運賃でも利益を生み出す。「こうしたライアンエアーのモデルを追いかけている」(井上氏)。

エアバス機13機の購入を発表するピーチの井上慎一CEO(右)と、記者会見のためにフランスから来日したエアバスのファブリス・ブレジエCEO(記者撮影)

そんなピーチは11月18日、航空機製造大手のエアバスと短距離機の「A320」シリーズ計13機の購入契約を結んだことを発表した。現在18機の機体で運航するピーチは、2020年には今の倍となる35機前後の体制を目指している。

井上氏はさらに先を見据える。「3年連続で黒字化を達成し、累積損失も解消した。ようやく普通の会社になれた。今後は100機体制を目指す。とにかく規模が重要だ」。ライアンエアーや米サウスウエスト航空といった世界の大手LCCは100機以上の運航体制を築いている。井上氏は100機体制の時期について「なるべく早く」とした。

今回ピーチが購入するうちの10機は「A320neo」という最新のエンジンを積んだ派生機種だ。従来のA320より航続距離が長くなり、片道5時間前後の飛行も可能だという。ただあくまでも教科書をなぞるがごとく、「低運賃のLCCで中長距離路線は商売にならない」(井上氏)というスタンスだ。

一方のバニラ。こちらも現在運航する機体はすべてA320だ。現行機は2018年に生産終了となるので、新たな機体を確保しなければならない。五島社長は「A320neoなのか、それ以外の機体を導入するのか。より長距離を飛べる機体もオプションにある」と説明する。

今年1月にANAHDが発表した中期経営計画では、実はバニラの「未来の路線図」が描かれている。よく眺めてみると、成田からインドネシア、シンガポール、カンボジア、ラオス、ベトナムといった国への直行便とも取れる線がある。「東南アジアでの人の流動は今後も増える。その需要を取り込むには足の長い機体も必要だ」(五島氏)。

バニラはANAと一蓮托生

ANAHDにとってピーチは38.7%出資の持分法適用会社だが、バニラは100%出資の完全子会社だ。バニラは将来的にANAの保有する機体を活用することも検討している。ボーイングの「B787」を飛ばす可能性もあろう。実際、アライアンスで提携するスクートはすべて787で運航している。

もともとバニラはマレーシアのLCC大手、エアアジアとの合弁で「エアアジア・ジャパン」として2011年に発足。だがオペレーションの考え方などで折り合わず、2013年に合弁を解消し、同年にバニラエアとして再出発した。「再スタートの際にコンセプトをとんがらせようと思った」と五島氏は振り返る。LCCの競争がますます激しくなるアジアでの生き残りをかけ、教科書にはとらわれない戦略を取る方針だ。

バニラとピーチ、真逆な戦略を取る両社だが、それでも共通するのは低運賃で新たな航空需要を生んでいる点。「奄美大島へ飛び始めたらレンタカー屋が繁盛し、新しいホテルも建ち始めた。経済効果は年40億円超といわれる」(バニラの五島氏)、「関西人が焼き肉を食べるためだけに韓国へ、台北の女の子が日本の美容院に行くためだけに沖縄へ行くようになった」(ピーチの井上氏)といったエピソードが物語る。

日本発着の国際線便数におけるLCCの割合は、2016年度冬期ダイヤで初めて20%を超えた。庶民の足として定着してきた中、各社には一層の戦略性が求められることになる。


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