したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

Airline & Airport(航空会社・航空路線・空港)スレ

5874とはずがたり:2016/08/31(水) 15:26:00

●ピーチ成功の鍵はロードファクター

ここでいう利用率とは厳密には有償座席利用率のことでロードファクターとも呼ばれる。お金を取って乗せた乗客の旅客キロ数を座席キロ数で割って算出する。似たような指標に搭乗率があるが、これには無償の乗客が含まれる。LCCの場合、搭乗率と利用率は近い数字になることが多いが厳密には一致しない。

各社の利用率は、ピーチが86.7%、バニラが85.3%、ジェットスターが82.9%となっている。2015年度決算では各社とも近い水準に並んだが、昨年におけるジェットスターの利用率は75.9%と低かった。一方、ピーチは昨年から86%台という高い利用率を維持してきた。コストも重要だが、それ以前に多くの客が乗らないことにはビジネスにならない。ピーチの好業績は利用率の高さがカギとなっていたようだ。

ではピーチはなぜ高い利用率を確保できたのだろうか。その理由はおそらく拠点空港の選択にある。ピーチは他の2社と異なり、成田ではなく関空を拠点としている。マーケティングにおいては、関西の地元LCCというイメージを前面に押し出し、地域経済界の協力もうまく取り付けた。地域における知名度を上げたことで、多くの顧客を取り込めた可能性が高い。

バニラはエアアジアの時代には成田を拠点に、新千歳、福岡、那覇といった路線に進出していたが、福岡路線からは撤退。バニラに移行してからは、台北、高尾、香港など観光客の利用が見込める路線に集中したことで、利用率を大幅に向上させている。

一方のジェットスターは、成田を第1、関空を第2拠点として、各都市にまんべんなく路線を確保する戦略を採用したが、これが裏目に出てしまった。特に関空の拠点開発が遅れたこともあり、各路線で十分に顧客を取り込めず、全体の業績が伸び悩んでいた。今年になってようやく、顧客の取り込みが進んだことで利用率が向上し収益が拡大した。

●日本のエアラインのコストは突出して高い

LCC3社の業績を俯瞰してみると、日本のLCCは基本的にニッチ・マーケットだということがよく分かる。その中でうまく利益を上げるためには、路線の選択に工夫を凝らす必要があり、こうした市場環境にいち早く適応したピーチ経営陣の手腕は素直に評価してよいだろう。だが、これが日本の航空市場のあり方というテーマになると話は変わってくる。

先ほどの図にはJALやANAといった大手エアライン、デルタなどの米系エアライン、海外LCCのコストも記載している。これを見ると日本の航空市場の特殊性が浮き彫りになってくる。

まず目を引くのが、JALとANAのコストの高さである。両社ともユニットコストが12円を超えており、LCCの1.5倍から2倍近くのコスト体質となっている。同じ大手でも米系3社であるアメリカン、ユナイテッド、デルタは8円から9円程度の範囲に収まっている。国際的に見てJALとANAのコストは突出して高い。

これだけコストが高ければ日本ではLCCが普及する余地が大きいということになるが、そうは問屋が卸さない。日本の主要LCCはすべて大手キャリアの関連会社となっているからだ。

LCCが大手キャリアの傘下となっている場合、究極的には親会社と顧客の奪い合いとなり、利益相反が発生する可能性が高い。実際、各国の状況を見てもフルサービス・キャリア傘下のLCCは成功しにくいという法則性が見られる。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板