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人権・差別・同和問題

102名無しさん:2015/02/08(日) 17:47:39
>>101

旧来型の「マスコミ対一般人」構図
さて、この安田氏の記事への批判にはもうひとつ奇妙に思えたものがありました。それは、ヨーゲン氏の問題行為を等閑視したまま、この記事を「マスコミによる一般人の私刑」として捉えるものです。つまり、「マスコミの強大な権力によって一般人(ヨーゲン氏)を攻撃するな」という批判です。これに、とても強い違和感を覚えました。
そこで持ちだされているのは、「マスコミ対一般人」という素朴な旧来型の構図です。これが、今回のケースにおいてどれほど妥当なのか、そしていまの時代においてどれほど適用できるのかは、あらためて考えてみてもいいかもしれません。
マスメディアとは、現在は大きく4つに分類できます。テレビ・ラジオ(放送)、新聞、雑誌、そしてネットです。近年の大きな特徴は、ネットメディアが伸長する一方で、新聞と雑誌の影響力が弱まり続けていることです。
「マスコミ対一般人」という構図は、ネットの浸透以前どころか、かなり早い段階からマスコミ報道を批判する際に見られていました。マスコミ研究も、送り手(マスコミ)が、発信する手段を持たない受け手(一般人)に影響を与えるという研究を続けてきた歴史があります。
近年では、2011年のフジテレビ抗議デモにおいて参加者にこの構図が共有されていたことが記憶に新しいでしょうか。その批判の内容は、マスコミであるフジテレビが偏向報道をしているというものでした。このデモを主導していたのは、在特会同様にネットから生まれた排外主義の団体でした。
今回の安田氏の記事への批判は、「マスコミ対一般人」という構図を前提としている点において、質的にはこのフジテレビ抗議デモにおける批判と近しいものがあります。ただし、そこで決定的に異なることがあります。それが、テレビ局とネットメディア(出版社の媒体)という違いです。両者は、同じマスコミではありますが決定的に違う存在です。
テレビ局は、影響力の強さや有限の電波を独占する免許事業であることもあって、放送法により(「表現の自由を確保する」名目で)報道が規制されています。
しかし、ネットメディアはそうではありません。前述したように、『現代ビジネス』は雑誌から派生したうウェブマガジンであるように、そこには放送法の「政治的に公平であること」といったような規制はありません。『WiLL』(ワック・マガジンズ)が右寄りの雑誌であり、『週刊金曜日』(金曜日社)が左寄りの雑誌であるように、言論の自由が十分に保証されている日本社会においては、さまざまな雑誌が存在します。
そういえば15年ほど前、あるトークイベントで大手新聞社の幹部が半ば自嘲気味にこう話していました。
「プロ野球では『人気のセ、実力のパ』という言葉がありました。マスコミも同様かもしれません。私たち新聞はセ・リーグのように人気はあるかもしれないが、実力は雑誌のほうがある」
事実、1974年の『文藝春秋』における立花隆氏による田中角栄総理の金脈報道や、1999年の『FORCUS』における清水潔氏による桶川ストーカー殺人事件報道など、雑誌メディアは数々のスクープを飛ばしてきました。誤報や訴訟も雑誌のほうが圧倒的に多いですが、放送法や記者クラブに縛られたテレビや新聞とは異なり、雑誌は自由闊達な言論によって成果をあげてきたのです。
『現代ビジネス』もこうした雑誌メディアの文脈にありますが、この媒体がテレビや新聞同様に扱われ、「一般人を攻撃した」と見なされて批判されることは、明らかに『現代ビジネス』のマスコミとしての質を見誤っていると言えるでしょう。テレビ・新聞と雑誌・ウェブメディアは違うのです。
さらに私が極めて奇妙だと思うのは、そのとき批判者は『現代ビジネス』と同じメディアであるネット上で、同誌を批判していることです。にも関わらず、それが決して顧みられることはありません。情報流通を軸にしたメディアの特性を基準とすれば、ネットメディアの『現代ビジネス』も、Twitterでの個人発信も、両者は同質なのです。
こうした批判のなかには、「(客観的基準を設けるために)ネットメディアの報道を法で規制しろ」という苛烈な意見も見られました。その批判者は、そのような法が同じメディア上で流通する自分たちの発言にも適用される可能性について、まったく想像していないようでした。自由な環境を享受する者が、自由だからこそ自由な言論を否定するという、絶望的なパラドクスがそこには生じていたのです。


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