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Game全般

665とはずがたり:2018/08/06(月) 21:00:31

 そんなことを続けて30年が経ちました。30年前の任天堂に比べると、変わってきたものも感じます。

 それは、いわゆる「大企業病」というべきものかもしれません。新しく入ってくる若い人に昔のことを話してもみんなびっくりします。

任天堂は「すきま」産業
 たしかに、彼らにとってみれば「世界の任天堂」に入社してきたのでしょうが、私達にとっては、京都の小さな企画会社。いまでも規模はそれ程大きくありません。自分で物を作っているわけでもなく、企画を考えて外注しているだけです。

 そういう意味では、「すきま産業」でこまわりをきかせて頑張ってきたのですが、ここにきて、そうもいかなくなってきました。私が55歳になったら独立しようと漠然と考えていたのも、そんなことが原因かもしれません。

 例えば、最近の任天堂では、新しい商品は年商1000億以上売れる可能性のあるものでなければだめだということを1つの基準にしています。1000億以上売れないものはやっても無駄だという発想なのです。

 なぜなら「スーパーファミコン」も、「ゲームボーイ」もそれぐらい売れています。そこで新しい商品を開発、販売、宣伝しようとすると、いまある柱のどれかをやめなければならないということになるのです。



「大企業病」とは何を指すのか
 さて、もう1度、任天堂「すきま産業説」に戻りましょう。

 私の開発哲学は、とにかく世界にないものを作るということでした。世界にない商品を作れば、それによって新しい独占市場を手にすることができます。似たような商品をつくれば競合して、シェア争いになる。そんなシェア争いをするなら、新しいシェアを作ったほうが手っ取り早いというのが私の考え方です。

 独占商品ならば1円高かろうが安かろうが関係ない。ある商品を作るうえで、10円高い商品でも売れるアイデアだったら、1円商品が高くなっても関係ないわけですから、アイデアこそ一番重要で、それをどこでいかに安く作るかはあとの問題になります。任天堂も中国への工場移転が話題になりましたが、私は国内生産でも、会社が十分潤うだけのアイデアでなければ、優秀なアイデアとはいえないと思っています。

 ただし、間違えてもらっては困るのは、世界にない商品を作るということは、世界の最先端をゆく、世界にまだない技術を使おうということではありません。

「最先端」にこだわり、「不要」なものをたくさんつけて「高価」な玩具を作るとしたら、それこそ「大企業病」であり、「すきま」精神を忘れた行為だと思うのです。

 例えば、ファミコンの外側は「とにかく値段を1万円以下にしたい」という精神のもと、私が指示して作ったものですが、今、常識のようになっている「十字キー」と呼ばれるコントローラーがあります。

 あれはいかにしてコントローラーを安く作るかということから出てきたアイデアでした。当時のコントローラーはいわゆるジョイスティックというもので、大変コストがかかるものでした。どうしたら安くなるかというので思い出したのが『ゲーム・アンド・ウォッチ』の『ドンキーコング』という商品につけた十字スイッチでした。

 このときはいかに薄くしてジョイスティックの機能を実現するかということで考えたアイデアでしたが、結果的にそれが非常に安くできたという経験があったので、そのままファミコンに利用することにしたのです。

『ゲーム・アンド・ウォッチ』誕生秘話
『ゲーム・アンド・ウォッチ』を開発した時にも、私はいかに小さくするか、つまり画面サイズをどこまで小さくできるかということに悩み抜きました。

 そんな時、週刊誌を見ていると、女性が本を抱えている写真が掲載されていた。ところが、写真の中の女性が抱えている本の写真の絵柄がはっきりわかるんです。その本は切手ぐらいの大ききで写っていたんですが、これを見て、切手ぐらいの大きさでもはっきり確認できるんだから、画面も切手の大きさで十分だということがわかりました。


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