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市場・株・為替・経済変動・景気循環

1513とはずがたり:2017/06/02(金) 11:25:50
>>1510-1513
<日銀もわかっているはず>

以上の私の回帰分析はわかりやすい最終結果のみを示してあるが、さまざまに変数の設定を換えて試行錯誤済みの結果である。日銀のエコノミスト諸兄姉もさまざまに変数の設定を換えて同種の推計を試行済みだろう。その結果、途方もない円安か、あり得ないほどの景気の上振れを想定しない限り、物価目標を達成できないことに、実はため息をついているはずだ。

「金融政策で物価上昇の効果が十分でないなら、財政政策で」という議論も最近再登場している。2009年のように景気がひどく落ち込んでいる不況下ならば、私も財政政策による景気底支えを支持する。しかし、現下のような人手不足を伴う景況下で、世代間格差をさらに拡大する形での政府債務の膨張が正当化できるようには思えない。

1つだけ物価目標達成の希望があるとすると、上記のような回帰分析による変数間の関係性は長期に不変ではなく、時に構造的な変化を起こすことだ。

例えば労働組合、連合が将来物価予想2%を前提にベースアップを要求し、経営がそれに応じるなら、1990年代以前のような賃金と物価の関係性が復活し、CPIの底上げも引き起こされる可能性が高い。しかし、政権からの賃金アップの働き掛けにもかかわらず、その方向に腰を上げようとしない日本の労使関係の現状を見る限り、近い将来そうした変化は期待できそうにない。

となると、投資家としては今後も、低インフレ傾向持続を前提に適応的な戦略を採る方が賢明だろう。具体的に言うと、GDP並びに株価など資産価格は物価上昇率アップによる名目上の押し上げ効果を得ることはないだろう。

ドル円相場は日米の物価上昇率格差が縮まないので、相対的購買力平価が示す中長期的な円高への回帰が起こるということだ。まだしばらく先になるだろうが、米国の次の景気後退時には、円高に回帰し、その際は1ドル=100円を再び大きく割れ込むだろう。景気後退に伴って日本のCPIもマイルドではあるがマイナス圏に戻ってしまうことだろう。

*竹中正治氏は龍谷大学経済学部教授。1979年東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、為替資金部次長、調査部次長、ワシントンDC駐在員事務所長、国際通貨研究所チーフエコノミストを経て、2009年4月より現職、経済学博士(京都大学)。最新著作「稼ぐ経済学 黄金の波に乗る知の技法」(光文社、2013年5月)


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