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重工業・造船・航空機スレッド

772とはずがたり:2016/10/18(火) 19:44:05
>>771-772

「メーカー側の事情により、マニラ案件の車両納入が叶わなかった。JICAや商社は面目丸つぶれだ。鉄道輸出を積極化したい日本政府の方針にも水を差す格好となった」(関係者)。メーカー側に生産能力の向上を求めるレポートが書かれたのはこうした事情による。またレポートには「案件形成段階からの車両メーカーの意向等の十分な確認」が求められると記されているが、裏返せば、こうした基本動作すらできていなかったわけだ。

現地生産は容易ではない

同レポートでは、「現地生産化要請への対応」についても指摘している。日本が昨年受注したインド高速鉄道(ムンバイ―アーメダバード間)では、インド政府側は将来の現地生産化を期待している。鉄道車両を自国で製造し、将来は他国へ輸出する。いわば中国のようなビジネスモデルを思い描いているのだ。

もっとも、自動車産業のようなオートメーション化による大量生産とは違い、鉄道車両の生産は手作業の部分が多い。つまり、生産の決め手となるのは工員の熟練度である。といっても、世界には鉄道車両産業がない国も多く、未経験の現地社員にゼロから技術を教え込むのは容易ではない。しかも、「そうやってようやく技術が身に付いた社員は転職しちゃうんですよね」と、ある鉄道メーカーの幹部はこぼす。勤務態度がよくない社員も少なくないといい、現地生産に際して日本のような勤勉さを求めるのは簡単ではない。

インド高速鉄道の次の候補として日本政府が期待するのがマレーシア―シンガポール間の高速鉄道案件。さらに8月6日には石井啓一国土交通相が訪問先のタイで、バンコク―チェンマイ間の高速鉄道を新幹線方式を前提に2国間の協力を具体化することで合意した。

「鉄道を含むインフラ輸出を成長戦略の柱に位置付ける」という安倍首相のかけ声の下、政府サイドは世界各国で高速鉄道の売り込みに躍起だ。一方で、JR東海は米国テキサス州の高速鉄道案件の成立を目指し、20人のスタッフを現地に派遣している。世界各国で進む複数の高速鉄道案件をすべてこなせるだけの人材が日本にそろっているのか。

インド在住の鉄道コンサルタントは「複数の案件どころか、ムンバイ―アーメダバード案件一つとっても日本はこなせるかどうか」と疑問を呈する。海外での業務経験がある鉄道技術者はまだまだ少ない。日本しか知らない技術者が他国の技術者とどこまで渡り合えるかは確かに未知数だ。

セールスを行なう政府と車両を製造するメーカーの足並みがそろわず、そもそも海外で鉄道案件を担う人材も足りない。日本の鉄道輸出戦略はどこかちぐはぐだ。官民が一枚岩で進むにはどうすべきか、足元からもう一度見直す必要がある。

海外で勝ち組の日立に獅子身中の虫

英国でIEP(都市間高速鉄道計画)という大型案件をモノにした日立製作所は、海外の”勝ち組”と見られがちだが、実は頭を悩ませている問題がある。イタリアの航空防衛大手フィンメカニカから買収した鉄道信号メーカー・アンサルドSTSである。

日立は昨年11月にフィンメカニカからアンサルドSTSの株式を40.07%取得した後、残りの株式について今年1〜3月に公開買い付けを実施した。買収価格が安すぎると主張する米ヘッジファンドなどの株主が応じず、日立の保有比率は50.77%にとどまり、全株取得はかなわなかった。その後、アンサルドSTSの株主総会では、日立は9人中6人の取締役を送り込んだが、米ヘッジファンドは取締役選任の無効をイタリアの裁判所に提訴している。

アンサルドSTSの主要業務である信号システムは世界的にも成長分野とされる。日立にとって極めて戦略的な会社であるが、大株主から揺さぶりをかけられると、機動的な事業運営が難しくなるかもしれない。

もっとも、フィンメカニカからはアンサルドSTSと同時に非上場の鉄道メーカー・アンサルドブレダ(現日立レールイタリア)の株式100%を取得している。同社は赤字経営ゆえに日立の“お荷物”となるのではないかと見られた時期もあったが、日立傘下入り後、次々と受注を重ねている。英国のEU離脱という状況下では、さらに存在感を増すに違いない。


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