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重工業・造船・航空機スレッド

1134とはずがたり:2020/09/18(金) 13:54:51

なお、このレポートには同時に、前提条件として、「フェーズⅠの車両と共通して運用するために同じ仕様とすることが求められる」とも書かれていることを付け加えておく。

前述のミャンマータイムズの報道には、フェーズⅠ向けの新潟トランシス製車両の今後の到着予定も記されており、それによれば今年12月、そして2021年2月、4月の計3回に分けて残りの18両が現地に搬入されるという。これが正しければ、新潟トランシスでは現状、生産可能なのは2カ月に1編成(6両)ということになる。

さて、CAFと三菱商事という組み合わせを聞いて、思い当たる節がある方もいるのではないかと思う。フィリピンのマニラ首都圏大量旅客輸送システム拡張事業(マニラLRT1号線の延伸計画)である。

「本邦技術活用条件(STEP)適用案件」ながら、2016年に応札者なしで初回入札が不調に終わり、その後も応じる国内メーカーはなく、2017年に三菱商事とCAFのコンソーシアムが受注した。

この入札不調の後、国土交通省は「鉄道産業の抱える課題及び対応の方向性」を発表(2016年8月22日付記事「鉄道『オールジャパン」のちぐはぐな実態』」参照)したわけであるが、状況は何も変わらなかったのだ。

今回もマニラと同じスキームだとすれば、車両製造はCAFが実施することになるものの、電気式気動車の主回路装置部分については三菱電機が納入することになるだろう。新潟トランシス製車両も同社製の電装品を採用している。

ミャンマータイムズの記事によると、金額は180両で4億900万米ドルといい、1両あたり日本円にしておよそ2億4000万円だ。新潟トランシス製車両よりもやや安い。

■日本の「鉄道輸出」の未来は?
現地報道によれば、環状線向け車両66両についてもCAF製車両が導入されるようだ。こうなってくると、今後の日本には2つの未来が待ち構えているといえそうだ。

まず1つ目は、日本の重電メーカー+海外車両メーカーという組み合わせが鉄道海外輸出の主流になるという未来である。日本製よりも安く、デザインなどもより柔軟に対応できる。しかも核心部は日本製であるため信頼が持てる。

日本政府の言う「官民一体」に当たらないだけで、現にこのような組み合わせの車両輸出は多い。円借款案件でもデリーメトロや北京地下鉄、武漢都市鉄道、マニラLRT2号線などがそうだ。当時「本邦技術活用条件(STEP)適用案件」という枠組みがなく、政府間契約において日本メーカーが全く海外メーカーに太刀打ちできなかったというのが正しいわけだが、これらの反省から、近年の鉄道案件は基本的に日本タイドとなった。

それが、いつの間にやら安倍政権の下「オールジャパン」などと掲げられるようになった。

ミャンマー向け車両受注では、すでにJR東日本・JR北海道向けに、類似した仕様の電気式気動車を量産している川崎重工が大本命と関係者の誰しもが予想していた。しかし同社は応札しなかった。

ほかに電気式気動車を製造する可能性があるメーカーとしては日本車輛製造、日立製作所なども挙げられるが、前者はアメリカ、そしてインドネシア案件で大幅な損失を出しており、当分海外案件には手を出さないだろうというのがもっぱらの噂である。車両輸出に積極的な後者は、タイのバンコクレッドライン、ベトナムのホーチミンメトロと円借款案件を抱えており手いっぱいだ。

その結果、海外案件から最も遠いと思われていた新潟トランシスが受注したわけであるが、フェーズⅡには繋がらなかった。

このような状況を反映してか、2018年には「円借款・本邦技術活用条件(STEP)の制度改善」が実施されており、入札不調の場合などの「原産地ルール」がやや緩和されている。日本製品が使用されていれば、どこで組み立てられようが構わないのである。つまり、「オールジャパンの鉄道輸出」など、実態の伴わない幻影になってゆく可能性が高い。


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