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国際政治・世界事情
954
:
とはずがたり
:2009/10/26(月) 09:37:32
伊首相、メディアたたき スキャンダル報道に「逆襲」
http://www.asahi.com/international/update/1026/TKY200910250355.html
2009年10月26日8時46分
【ローマ=南島信也】イタリアのベルルスコーニ首相(73)が、メディアや司法との対決姿勢を強めている。自身のスキャンダルを報じ続けるメディアに訴訟攻勢をかけ、首相一族が所有する企業グループに巨額の賠償命令判決を下した裁判官については、傘下のテレビ局が私生活を隠し撮りした。民放3大ネットワークを所有する「メディア王」の逆襲に、メディア側の萎縮(いしゅく)を懸念する声が上がっている。
首相は5月以降、離婚の原因となった18歳の女性モデルとの問題から始まり、政府専用機の私的利用疑惑、売春目的の派遣サービスに所属する女性(42)との関係など、スキャンダル報道のシャワーを浴びてきた。
追及の中心となったのがレプブリカ紙と系列のレスプレッソ誌。首相は8月末にレプブリカに対して名誉棄損で100万ユーロ(約1億3200万円)の損害賠償を求めて提訴。9月にはウニタ紙に200万ユーロを請求した。
さらに、首相の弟が経営するジョルナーレ紙は、社説などで首相を批判したイタリア司教協議会の機関紙アベニーレの編集長を中傷するキャンペーンを展開し、編集長は辞任に追い込まれた。
首相は一代でイタリアを代表する企業グループ「フィニンベスト」を築き上げた。このフィニンベストに対し、ミラノ地裁は今月5日、同国最大の出版社モンダドーリの買収に際して企業グループCIRに損害を与えたとして、7億5千万ユーロ(約1千億円)の支払いを命じた。
すると、フィニンベスト傘下のテレビ局カナレ5が、判決を下した裁判官の私生活をしつこく追った。理髪店の前でたばこを吸いながら順番待ちをしている様子を隠し撮りし、「エキセントリックで短気な裁判官」と報じた。
首相はフィニンベスト傘下の民放3局だけでなく、国営テレビRAIにも人事面などで大きな影響力を持つ。これまでも首相を批判した人気司会者や花形ジャーナリストが職を追われた。
メディアを通じて大衆の支持を得てきた首相は、報道が政治家の命とりになることを熟知している。自分を批判するメディアは徹底的にたたく。
新聞や雑誌などの活字メディアが政府の補助を受けている同国の事情も絡む。補助金総額は年3億8700万ユーロ(09年、約534億円)に上る。今回訴えられたレプブリカやウニタも補助金を受けている。それでも両紙が批判報道を繰り返すことに首相は我慢できなかったようだ。
こうした状況を受け、ジャーナリストたちが今月3日、ローマなど各地で「報道の自由」を訴えて大規模なデモを実施した。デモを主催した伊全国報道連盟のシッディ代表は「この国のメディアは恐怖と萎縮の雰囲気に包まれている」と訴える。そのうえで「(首相の)新聞攻撃を通じて世論は『報道の自由』に批判的になり、民主主義の変質につながる危険が現実的になっている」と警鐘を鳴らしている。
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