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国際政治・世界事情

7766とはずがたり:2014/04/05(土) 15:49:13

問題はやはり、プーチンの頭の中がどうなっているかということです。

プーチンは当初「ウクライナの併合はしない」と明言していましたが、結局「クリミアはウクライナに非ず」という論理でクリミアを併合したうえ、これだけの強硬姿勢を見せている。もしかするとプーチンは、当初からクリミア併合はやむを得なくなると考えていたのかもしれません。

「バカにする奴は許さない」

ただし、一部で言われているような、プーチンが何年も前からクリミア併合を計画していたという憶測は当たりません。現在のロシア経済の状況を考えると、負担が大きすぎるからです。

ロシアにとって必要なのは、セヴァストポリの軍港とヤルタの保養施設だけ。どうしてクリミア・タタール人(クリミア半島の原住民族)の面倒まで見なきゃいけないんだ、というのが一般的なロシア人の感覚です。ここまで強く出る必然性は全くなかった。

では、なぜプーチンは大勝負に出たのか。最大の理由はナショナリズムです。彼は、「ウクライナ人が、ロシア人を侮辱した」と考えているのです。

ウクライナの首都キエフで反ロシアの新政権が成立し、ロシアを罵るばかりか、彼らは昔からロシアの勢力圏だったウクライナの東部と南部、さらにクリミアで、ロシア語の使用を禁じるとまで言い出した。これはつまり「ロシア語をしゃべる公務員はみんなクビにして、西ウクライナから新しく人を連れてくる」ということであり、これがロシア国民のナショナリズムを刺激した。「バカにしやがって、許せん」というわけです。

クリミア併合には、世間で考えられているほどの実質的な意義はありません。ロシアにとっては国際的に孤立を招くうえ、支出だって増える。しかし、ナショナリズムとはそういうものなのです。今回の事態は、合理性では読み解けない。こういうときにロシア人がどんな反応をするかということを分かっていなければ、彼らの行動を真に理解することはできません。

クリミア自治共和国のセルゲイ・アクショノフ首相は、ウクライナ新政権閣僚のクリミア入りを拒むなど、プーチンに負けず劣らず強硬な姿勢を見せています。しかし、これは一種の虚勢でしょう。

北方領土交渉は白紙に

アクショノフの素性は明らかになっていませんが、もともとは食料品店の店長だったと言われている。それが一夜にして世界中の新聞に載るようになり、一時的であるにせよ、国際政治のプレイヤーとして、プーチンにも会えるようになった。どこかのコンビニの店長が突然県知事を任されたうえに、総理の側近になったようなものです。

混乱期には、エリートの入れ替えが起こります。それまでエリートの地位に立つはずのなかった人間が、混乱に乗じて突然権力を握る。ヒトラーの例を引くまでもありませんが、新しいエリートが決まって大きなことを言うのは、自らのポジションの強化を図るためなのです。

EU諸国の中で、ロシアに対して特に強硬なのはリトアニア、エストニア、ラトビアのバルト3国です。この3ヵ国は国内に多くのロシア系住民を抱えていて、ウクライナを「明日はわが身」と思って見守っている。

一方で、ドイツがロシアを宥めようとしているという報道がありますが、その理由を「ドイツのメルケル首相が、プーチンと仲がいいから」などと考えるのは的外れです。プーチン政権が好きだというドイツ国民は3割程度しかいませんし、ドイツがロシアに対して宥和的なことには、もっとドライな理由があります。

経済制裁が実施され、ロシアからの天然ガス供給が止まると、最も困るのがドイツとイタリアなのです。フランスには原発があるし、イギリスは、意外と注目されていませんが、北海油田をノルウェーと共同開発しているから、ロシアからのエネルギー供給が止まっても大打撃にはならない。

ドイツとイタリアといえば、第二次世界大戦の枢軸国です。戦後の秩序は、枢軸国がエネルギー面で自立できないような仕組みになっている。当然日本もその例外ではありませんが、エネルギー面でロシアにあまり依存していませんから、今のところ影響は小さい。国際政治において、首脳の人間関係や、国同士の友好関係という次元で考えていては、事態を見誤ります。


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