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国際政治・世界事情
7727
:
チバQ
:2014/03/30(日) 12:40:28
◆徹底した世俗主義
堂々とした体躯(たいく)に太い眉、よく通る大きな声。その風貌と勇猛さから「現代のチンギスハン」とも評される。冷血というイメージも定着している。犯罪者を戦車で踏みつぶして処刑した、タリバンの捕虜多数をコンテナに閉じ込めて運び窒息死させた、などという話が流布しているが、本人は否定している。
一方で、徹底した世俗主義者という顔も持つ。1990年代、首都などの戦乱をよそに北部で事実上の自治国家を運営、地元の大学には女子も通った。他地域からもタリバンの圧政を逃れ、自由を求めて多くの住民が流入した。もっとも、ドスタム氏の世俗主義は酒と女が好きだからと揶揄(やゆ)する声もある。
今年60歳のドスタム氏だが、権力への野望は健在のようだ。パシュトゥン人のガニ元財務相の副大統領候補として4月5日投票の大統領選に出馬している。少数派であるウズベク系の氏にとって、最大民族パシュトゥン人候補の片腕として立候補することは復権への現実的な選択である。
ガニ氏といえば元は学者の経済専門家だ。まるで不釣り合いなドスタム氏を副大統領候補に選んだのはウズベク人の固定票狙いらしい。ドスタム氏は出馬に際し、過去の非を国民に謝罪するという前代未聞の挙に出て、話題を集めた。機を見るに敏なこの人らしい処し方であり、復権への強い思いの表れともいえる。
大統領選ではガニ陣営とアブドラ元外相の陣営が最有力と目されている。仮に敗北してもドスタム氏はその先を見ているはずだ。今年末には外国軍の駐留が期限切れを迎える。支えを失った中央政府は弱体化し、群雄割拠の時代が再来すると予想する向きが多い。それは北部に再び自らのミニ国家をつくるのに好都合と氏は見越しているに違いない。(在バンコク・ジャーナリスト 鈴木真)
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