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国際政治・世界事情
6799
:
チバQ
:2013/08/29(木) 21:47:15
http://mainichi.jp/select/news/20130827ddm007030155000c.html
ドイツの選択:’13総選挙/4 盗聴への関与、争点化
毎日新聞 2013年08月27日 東京朝刊
東西冷戦期、旧西ベルリンに設置されていたNSAの通信傍受施設の跡地。今は人気の見学スポットだ
拡大写真 ベルリン西部の標高約120メートルの小高い山「トイフェルスベルク(悪魔山)」の頂を目指し、松林の小道を登ると、突然、丸いドーム型建築物が目に飛び込んできた。東西冷戦の最前線だった旧西ベルリンに、米国家安全保障局(NSA)が設置した通信傍受施設の跡地だ。冷戦終結後は廃虚となり、今は私有地だが土地の管理者に入場料7ユーロ(約900円)を払えば見学できる。NSAによる世界的な盗聴が6月に暴露されて以降、急速にベルリンの人気スポットになり、今は毎日約100人が訪れるという。
冷戦後の今も、NSAがドイツ国内でメールや電話など通信傍受を続けていたことが6月に発覚した。同盟国の米国が、自分たちを監視対象にしていた事実にドイツ国民は衝撃を受けた。メルケル政権も、米国の「共犯」と疑われた。
9月22日に連邦議会選(総選挙)を控え、これは野党にとって絶好の「争点発見」(独紙)だった。攻撃材料を得た野党・社会民主党は「政府は全容を説明せよ」と度々要求。ドイツでは旧東独の秘密警察による監視社会を経験した世代も健在で、盗聴に対する国民の嫌悪感は根強い。
だが風向きが変わったのは7月だ。自国の情報機関「ドイツ連邦情報局(BND)」も長年、NSAの盗聴に協力していたと報じられた。BNDを統括するのは歴代の首相府長官のため、困ったのは社民党だ。1998〜2005年のシュレーダー政権時代の長官は主に社民党のシュタインマイヤー前外相。当然、「知っていたのでは」との質問攻めにあい、「知らなかった」と釈明に追われた。
世論調査で野党の支持率は伸びず、社民党内からも「真の危機はテロや組織犯罪だ。NSA問題を大げさにあおるのは適切でない」(シリー元内相)と争点化を疑問視する声が上がり始めた。
戦後のドイツ(西独)にとって、対米協調は欧州統合と並ぶ外交の基本路線。「米独首脳はどんなに緊張関係にあっても、互いの国益をよく認識している」(ヨゼフ・ブラムル独外交政策協会研究員)のが現実だ。メルケル首相側近のポファラ首相府長官は8月12日、米独が互いの国でスパイ行為を禁じる協定の締結を準備していることを明言し、必死に事態収拾を図っている。「選挙後を考えれば、いつまでも米国とのもめ事を続けられない」(与党筋)との基本認識は、どの党も変わらないとみられる。
突如浮上した「外来」の争点で、野党は得点を稼げるのか。「悪魔山」の廃虚が、候補者が走るベルリンの街を見下ろす。【ベルリン篠田航一】=つづく
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