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国際政治・世界事情

6575チバQ:2013/07/02(火) 22:57:56
http://mainichi.jp/select/news/20130630ddm007030190000c.html
民族和解への挑戦:クロアチア、EU加盟/2 市長選を機に公用語論争 「過去の亡霊」再び
毎日新聞 2013年06月30日 東京朝刊

 クロアチアの首都ザグレブから東へ230キロ余。ゆったりと流れるドナウ川の向こう側にセルビアを望むブコバルの街並みは、真新しい家屋で埋まっていた。無数の弾痕が残る巨大な貯水塔や一部の廃虚を除き、クロアチア人とセルビア人による激戦の爪痕はほとんど残っていない。「セルビア側の攻撃で完全に破壊し尽くされ、すべてが再建されたから」とクロアチア人ガイドは説明する。新興住宅地のようなたたずまいは想像を絶する激戦の裏返しでもあった。

 1991年6月、クロアチアが旧ユーゴスラビア連邦からの独立を宣言すると、人口の約12%を占めたセルビア人の保護などを理由にセルビア軍主体の連邦軍が武力介入。セルビア人が逃げ出したブコバルは8月末から約3カ月間、連邦軍などに包囲された。11月の陥落までに7000発もの爆弾や砲弾が降り注ぎ、9割の建物が崩壊。双方合わせて約3000人の死者を出したと言われる。第二次大戦以降、欧州で起きた最もむごい戦闘と呼ばれるゆえんだ。

 戦後18年。民族和解を約束し、欧州連合(EU)への加盟で平和と安定を目指す道を選んだクロアチアだが、加盟を目前に控えた今春、ブコバルに再び「過去の亡霊」が顔をのぞかせた。6月初めの市長選を前に、市の公用語にセルビア語を加えるべきか否かで世論が沸騰。クロアチア人退役軍人らが軍服姿で反対デモを繰り返すなど、騒然としたムードに包まれた。

 「民族主義的な政治家が、戦争で近親者を失った人々の心情に訴え、悪夢をよみがえらせようとした」。再選された中道左派、社会民主党のクロアチア人市長、ゼリコ・サボ氏(59)はこう答えた。紛争後の避難民の帰還に伴い、ブコバルのセルビア人は全体の3分の1余を占める。セルビア語の公用語化は、少数民族の権利を保障する基本法で定められている。法の順守を訴えるサボ氏に対し、右派クロアチア民主同盟の候補は「セルビア併合への第一歩になる」と危機感をあおった。

 だが、サボ氏はこうも続けた。「もし、原爆投下直後の広島や長崎に英語も表示しなければならなかったら、日本人はどう思っただろうか。反対する人がいたに違いないだろう」。サボ氏自身、ブコバルの防衛隊員として敗れた後、セルビアの収容所で3カ月監禁された経験を持つ。何年たっても癒えない戦争被害者の心情を代弁したものだった。

 90年代に民族紛争の舞台となった旧ユーゴからは、セルビアやコソボなどもEUへの早期加盟を目指している。加盟条件である戦争犯罪者の処分や民族間の融和、人権保護などで成果を上げつつあるが、「EU向けのパフォーマンスであって、本物の和解にはほど遠い」(地元外交筋)のが実情だ。

 「戦いはもう終わった。(相手に)許しを与えなければ、未来はやってこない」。眉間(みけん)に深い縦じわを寄せたサボ氏の表情に、選挙戦を制した勝者の余裕はなかった。【ブコバル(クロアチア東部)で樋口直樹】=つづく


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