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国際政治・世界事情
5882
:
チバQ
:2013/03/08(金) 23:28:57
http://mainichi.jp/select/news/20130302ddm007030084000c.html
法王引退:/上 「欧州偏重」後任選び バチカン、問われる改革力
毎日新聞 2013年03月02日 東京朝刊
ドイツ出身のローマ法王ベネディクト16世(85)がバチカンで最後の一般謁見を行った2月27日、サンピエトロ広場にイタリア人修道女、マリア・クリスティナさん(75)の姿があった。
「イタリア人や欧州出身者でなく黒人であっても、次の法王は神に選ばれた正しい人であることが重要です」。大型スクリーンのベネディクト16世を見つめるクリスティナさんは手を合わせて祈りをささげた。
ベネディクト16世の退位を受け、法王不在となったバチカン。人々の関心は3月前半にも開かれる法王選挙会議(コンクラーベ)で誰が次期法王に選ばれるかに移りつつある。
「中南米から法王が選ばれたらうれしい」。バチカン公認のマリアをまつるメキシコ市近郊のグアダルーペ寺院で、オズワルド・エルナンデスさん(25)が期待を口にする。
世界約12億人のキリスト教カトリック信徒の4割強が中南米に暮らす。バチカンにとって「カトリックのコンテナ」と呼ばれる重要地域だ。本家・欧州は信徒人口の点からすれば約24%にすぎない。
だが、カトリックには長年にわたる欧州中心主義の歴史がある。コンクラーベで次期法王を互選で決める80歳未満の枢機卿115人のうち欧州出身者は過半数の60人。中でもバチカンのお膝元イタリアの有資格者は28人と1カ国では最大勢力だ。
「コンクラーベの構成はカトリック教会の地政学的な現状を反映していない。欧州偏重で、バランスが取れていない」。バチカン日刊機関紙オッセルバトーレ・ロマーノ元副編集長のジャン・フランコ・スビデルコスキー氏(76)が指摘する。
「パパビリ」と呼ばれる法王候補にはアルゼンチンのレオナルド・サンドリ枢機卿(69)ら非欧州勢の名前も取りざたされている。だが、有力視されているのはアンジェロ・スコラ・ミラノ大司教(71)らイタリア組だ。
ブラジルのオディロ・ペドロ・シェレル枢機卿(63)は「(法王選出に)出身地や年齢は大きな問題ではない」と語る。だがスビデルコスキー氏は「今の教会は世界規模に広がっている。大西洋を渡る時だ」と“脱欧州”の必要性を説く。
後継法王の出身地はベネディクト16世が果たせなかったバチカン改革とも無関係ではない。「ローマから遠く離れるほど教会の純粋な本質を感じ取れる。非欧州法王を選べば改革の用意を示すことになる」(スビデルコスキー氏)からだ。
「(国民の選挙で指導者が選ばれる)民主主義なら中南米だが、教会は民主主義ではないから」。サンピエトロ広場で祈りの集いに参列したブラジル人留学生のルシアナ・プリコリ・ビレラさん(33)が語る。
カトリック教会は欧州中心主義のくびきから自らを解き放つことができるのか。ベネディクト16世による異例の生前退位に伴う法王交代にあたり、バチカンの改革力が問われている。【ローマ福島良典、メキシコ市・國枝すみれ】
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