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国際政治・世界事情
5780
:
チバQ
:2013/02/17(日) 12:00:22
<期待と現実>
エジプトの「ムスリム同胞団」やチュニジアの「アンナハダ」など、よく組織化されたイスラム政党は、独裁政権崩壊後に行われた選挙で勝利したが、複雑な経済の運営や、不安定さを増した社会を統治する難しさに直面している。
アンナハダの指導者ラシド・ガンヌーシ氏は、今週ロイターの取材に「国民は革命でも生活は変わらなかったと感じて怒っている」と語り、ベンアリ政権の崩壊で高まった国民の期待に応えることの難しさを認めた。
アンナハダなど穏健派イスラム政党は、新憲法により厳格なイスラムの教義を盛り込もうとする超保守派サラフィーからの圧力にもさらされている。サラフィーの一部は、自分たちの目標追及には暴力も辞さない構えだ。昨年9月にリビアのベンガジで発生した米領事館襲撃事件などは、そうした危険が増していることを物語っている。
過去2年の政治的混乱に関する現地活動家たちの声を拾うと、あくまで個人的な見解ではあるものの、アラブの今の世界が透けて見えてくる。
エジプトのリベラル活動家アブデルラーマン・マンスール氏は、イスラム政党はムバラク政権の責任を追及せず、暫定軍事政権からの完全民主化移行にも失敗したと指摘。2年前の反政府デモにも関わったという同氏は「それどころか彼らは、権力争いに明け暮れ、他の政治勢力を隅に追いやった」と語る。
イスラム活動家のサミール・ウィサミー氏は、ムバラク政権の崩壊と自由かつ公正な選挙の実施は大きな進歩だったとした上で、「内務省の説明責任の欠如とこの国を苦しめている暴力の連鎖」を嘆いた。
<シリアの苦悩>
ムバラク政権崩壊後の混乱で数百人が死亡したエジプトだが、シリアに比べれば状況ははるかにましだ。国連人権高等弁務官のナビ・ピレイ氏は先に、内戦状態が続くシリアでは、死者数が7万人に近づいているとの見方を示した。
シリアから国外脱出した反体制活動家のファワズ・テロ氏は、アサド政権の「暴挙」と国際社会の無為で多くの人命が失われているのは悲しいことだが、最も失望しているのは、反政府側にリーダーシップや政治的見識、管理能力が欠けていることだとため息をつく。
甚大な人的被害が出たシリア内戦の結末がどうなるかは、まったく見通すことができない状況だ。自由と尊厳を求めて市民が立ち上がった他の国がこの先どうなるのかも、誰にも分からない。
カーネギー国際平和財団のネーサン・ブラウン氏は、アラブの春で独裁政権は倒れたものの、「最終的な政治体制に関する秩序立った考えはなく、望ましい政治体制構築は予想よりはるかに難しい」と語る。
「最大の障害は、エジプトとチュニジアという2年前に最も前途有望だった国でさえ、さまざまな派閥に分裂が進み、隔たりを埋めることができず、共通の言葉を見つけることさえできないことだ」。
(原文執筆:Alistair Lyon、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)
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