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国際政治・世界事情
5666
:
チバQ
:2013/01/22(火) 23:41:53
http://mainichi.jp/select/news/20130121mog00m030029000c.html
語られない「和平」:イスラエル総選挙2013/上 右傾化進む世論
2013年01月21日
オシュリ・トゥビさんの自宅には右派勢力の宗教的な指導者であるラビ(ユダヤ教導師)の写真が掲げられている=イスラエル南部オファキムで2013年1月13日、花岡洋二撮影
拡大写真 ◇国際社会での孤立化と反比例
「ネタニヤフ(首相)は、ガザを征服すべきだった」。パレスチナ自治区ガザとの境界から東約20キロにあるイスラエル南部オファキムの自宅で、高校教師のオシュリ・トゥビさん(32)が力を込めた。昨年11月、イスラエル軍はイスラム原理主義組織ハマスが実効支配するガザ地区を空爆した。だが、ハマスに決定的な打撃を与える地上侵攻には踏み切らなかった。トゥビさんは、その判断に強い不満を抱いた。
当時、トゥビさんの住む周辺地区には、ガザ側からのロケット弾が散発的に着弾していた。半壊した民家もある。爆音に驚いたトゥビさんの長男(3歳)は、今も大きな音を怖がる。
トゥビさんは、パレスチナ自治区を含むヨルダン川から地中海までの一帯を神がユダヤ人に与えた領土だと信じる「大イスラエル」主義の信奉者だ。もともとパレスチナ国家の樹立には反対で、今回の選挙では宗教系の極右政党「ユダヤの家」を支持することに決めた。22日投開票の国会(比例代表制、120議席)選挙に向け、初めて選挙運動にも参加。自宅の外壁には、巨大な横断幕を掲げている。
「ユダヤの家」は、現有3議席を14議席前後にも伸ばす勢いだ。党首はイスラエル軍のエリート戦闘部隊出身のベネット氏。パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の半分以上をイスラエルに併合すべきだと訴え、テレビ広告では、自ら「最も戦闘的な党」と売り込む。
選挙は「強い首相、強いイスラエル」をスローガンに掲げるネタニヤフ首相のリクード党と、リーベルマン前外相率いる世俗派の極右政党「我が家イスラエル」が優勢だ。与党統一会派を結成し、「ユダヤの家」とも連立を組む可能性が高い。各党の比例名簿で上位を占めるのは、ヨルダン川西岸への入植を強く支持する候補者ばかりだ。
最近の世論調査によると、自らを「右派」とする有権者は41%で、3年前の34%から急増している。名簿の顔ぶれは、こうした世論の動向を反映している。
右傾化の背景には、何があるのか。ネタニヤフ首相が就任した09年3月以降、パレスチナ自治区や周辺国との関係は緊張度を増し、強硬策を取るイスラエルは孤立化を深めてきた。トルコからのガザ支援船をイスラエル海軍が襲撃した事件(10年5月)をきっかけに、かつての友好国トルコとは反目。11年末からの「アラブの春」の影響で、隣接するエジプトやシリアではイスラム勢力が台頭している。パレスチナは昨年9月に国連での地位を「格上げ」、イスラエルが報復措置として入植住宅建設を打ち出すと、欧米諸国は一斉に批判した。
地域における孤立化と、国際社会への反発が促すナショナリズムの高揚。バルイラン大学のシュムエル・サンドラー教授は「(イスラエルは)生存のために戦っている」と述べ、右傾化を当然視する。だがその結果、過去20年の選挙で大きな争点となってきたパレスチナとの和平推進は、議論にさえのぼっていない。
◇
「『和平』が争点とならない初めてのイスラエル選挙」(バルイラン大学、ゼエブ・カニン博士)。その背景を探る。【エルサレム花岡洋二、写真も】
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