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国際政治・世界事情

5575チバQ:2013/01/07(月) 23:32:12
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013010602000092.html
国境 交錯の現場 (5)ブルガリア南部 ギリシャ企業 移転加速
2013年1月6日 朝刊

ギリシャからブルガリア南部マリコスティノボ村へ製菓工場を移転させたベルギディス社長


 真新しい工場は濃厚な甘い香りと静かな活気に満ちていた。

 「ギリシャに残っていたら、今ごろ倒産していたよ」。ギリシャ第二の都市テッサロニキから、北隣の国ブルガリアの南部、国境から程近いマリコスティノボ村へ製菓工場を移して十カ月。ギリシャ人社長のステファノス・ベルギディスさん(55)は迷いなく言った。

 ギリシャの財政危機による不況は、会社経営を直撃した。二〇一一年の売り上げは前年の三割に急落。追い込まれてすがったのはブルガリアの税金と人件費の安さだった。法人税はギリシャの20%(当時)に対して10%、人件費もほぼ半分で済み、生産コストを約三割削減できたという。「制度が違って助かった」。言葉に実感がこもる。

 地元の住民十五人を雇う工場は軌道に乗ったが、母国ギリシャの経済安定には「あと十年かかる」と悲観的だ。週末ごとにスズキの四駆で国境を越え、片道一時間半かけて家族が待つテッサロニキと工場を往復する生活が続く。

 欧州債務危機の出口が見えない中で、経済の混乱が収拾しないギリシャから企業が流出している。ブルガリア歳入庁によると、ブルガリアで法人税を納める全額ギリシャ資本の法人は一一年末で三千七百八十一社と前年末より約七割増えた。

 財政再建を図るギリシャで増税が繰り返されるのと対照的に、ブルガリアの税は低率で安定している。通貨レバのレートもユーロに対し固定され、為替リスクはユーロ圏のギリシャと変わらない。ギリシャ企業の国外移転は昨年、前年よりさらに加速したという。

 会社だけではない。

 マリコスティノボ村から北へ十五キロの小都市サンダンスキは、週末には買い物や食事を安く楽しもうと訪れるギリシャ人であふれ返る。多数のギリシャ企業を顧客に抱える地元の女性弁護士ロジッツァ・シメオノバさん(50)も「ギリシャ人は口では『困った』と言うけれど、全く困窮しているようには見えない」と不思議がる。

 両国とも欧州連合(EU)加盟国なので、パスポートでなく当局発行の身分証明書を係官に見せれば簡単に国境を通過できる。行列はほとんどできない。人の行き来が盛んなのも自然である。

 ブルガリアがEUに加盟したのは〇七年。近い将来には単一通貨ユーロの導入を目指す。欧州統合を深化させる重要なステップだが、ユーロ圏に加わるとギリシャなど債務危機国への支援義務も強まる。「なぜ私たちの税金で金持ちを助けなければならないのか」との不満がブルガリア国民の間にわだかまる。

 ベルギディスさんは言う。「ブルガリアはユーロに入らない方がいい。ギリシャと同じことが起きる。(突出した経済大国の)ドイツにあれこれ指図され、自分たちで何も決められなくなる」

 国境近くの町で、経済の「国境」をなくす試みに賛同する声は、ついに聞けなかった。

  (ブルガリア南部で、宮本隆彦、写真も)

 <ギリシャ財政危機> 2009年10月の政権交代で、前政権による財政赤字隠しが発覚。国内総生産(GDP)の4%程度とされた赤字が実際は12%超あり、ギリシャが借金を返せないのではとの不安が国際金融市場に広がった。国債価格は暴落し、資金調達で高い金利を強いられる悪循環となった。信用不安はスペインやイタリアに飛び火して欧州債務危機へと発展。金融支援を受ける南欧と、支援の条件として緊縮策を迫るドイツなどとの間できしみが生じている。


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