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国際政治・世界事情
5431
:
チバQ
:2012/12/07(金) 22:33:41
http://mainichi.jp/select/news/20121208k0000m030042000c.html
セルビア・コソボ:和解への歩み 直接対話、光と影
毎日新聞 2012年12月07日 20時11分(最終更新 12月07日 20時24分)
欧州連合(EU、27カ国)は10日、「欧州に平和と和解をもたらした」功績でノーベル平和賞を受賞する。授賞理由の一つ「バルカン半島の和解」では戦火を交えたセルビアとコソボの首相同士の直接対話を10月から成功させた。EUの「平和構築力」を検証した。【コソボで斎藤義彦】
●首相対話実現
「2時間、談笑しながらの夕食だった」。セルビアのダチッチ首相、コソボのサチ首相が先月、ブリュッセルで行った直接対話に同席したEU交渉筋は話す。EUのアシュトン外務・安全保障政策上級代表(外相)主導による対話は、今月4日に3回目が行われた。
内戦でセルビアと戦ったサチ首相をセルビアのダチッチ首相は犯罪者呼ばわりする。しかし、ブリュッセルでは握手も交わし、共同の国境管理や高速道路建設計画で合意した。
対話の動機はEU加盟だ。セルビアは3月に加盟候補国に認められた。セルビア交渉筋は「EUに入るためなら“犯罪者”とも話す」と意気込む。コソボも加盟の前提となるEUとの安定連合協定の来年締結を目指す。
●高まる民族主義
コソボの首都プリシュティナ。町中が赤地に双頭のワシを描いた隣国アルバニア国旗であふれた。コソボ国旗はほとんどない。オスマントルコからアルバニアが独立を宣言し、先月28日で100年になったお祝いだ。当時の独立闘争は現在のコソボで始まったが、イタリアやドイツによる占領などで民族は国境線で分断された。
コソボは独立で犠牲を払ったが、多数を占めるアルバニア人には「国を捨てアルバニアと統合するのが自然」と中年男性は話す。コソボ政府・欧州統合省のカサポリ副大臣も「将来の国のあり方に100%の保証はない」と統合に含みを残す。
欧米は独立を求める市民に応えコソボを支えた。しかしその前提が崩れる可能性が出てきた。「国境線変更は認めない」とするEUとコソボ市民が対立する悲劇もありうる。
●苦悩するEU
一方、少数派セルビア人が集住するコソボ北部ミトロビツァではセルビア国旗がはためく。この地域はセルビアに所属するとの主張だ。「セルビアのダチッチ首相はEU入りのために我々を裏切った」とセルビア国会議員でもあるジャクシッチ医師は話す。同医師が勤める病院や学校などはセルビア政府が維持する。直接対話でセルビアからの支援が切れ、コソボ政府にも見捨てられる不安がよぎる。「セルビア人は直接対話の被害者だ」とコソボ議会でのセルビア人代表・ミキッチ議員は孤立感を深める。
「EUは去れ」。市内に抗議の落書きが見られる。EUはコソボの税関、警察を支援するが、ワード捜査官は「捜査の車もセルビア人地域に入れてもらえない」と嘆く。「EUはアルバニア人を偏重し、中立的でないと受け止められている」とEU加盟国高官は自己批判する。治安維持は北大西洋条約機構(NATO)頼りだ。
米国の助けも大きい。クリントン米国務長官は10月末、アシュトンEU外相とセルビア、コソボを訪れ対話を促した。コソボを知る元米外交官は「旧ユーゴ紛争でEUは介入能力がなく米国に頼った。ようやくEUは力をつけた」と話す。
夫の元大統領がボスニア紛争解決やコソボ空爆を主導した歴史から、クリントン長官はバルカン半島に「特別な関心」(米外交筋)がある。長官の退任に備え5日、ウェスターウェレ独外相の呼びかけで、ブリュッセルで同長官、アシュトンEU外相らがコソボ支援継続を確認した。EU外交筋は「私たちが生んだコソボを育てる責任がある」と話す。
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