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国際政治・世界事情
4910
:
チバQ
:2012/08/20(月) 22:50:06
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120820/mds12082021400002-n1.htm
イラク・クルド人自治区に石油メジャー進出加速
2012.8.20 21:38 (1/2ページ)
イラク北部クルド人自治区でこのところ、米欧のメジャー(国際石油資本)が、首都バグダッドの中央政府を通さずに直接、自治政府と折衝し、自治区内の石油権益を取得するケースが相次いでいる。こうした動きを中央政府の権威を損ねるものととらえるマリキ政権は、自治区に進出する企業への制裁を示唆。政権側と自治政府との政治的緊張がいっそう強まる可能性もある。(カイロ 大内清)
メジャーのクルド人自治区進出が注目され始めたのは昨年11月、米エクソンモービルが、自治政府との間で、自治区内の6つの鉱区の開発で合意したのがきっかけだった。
これに対し、地下資源は中央政府の管理下に置くべきだとするマリキ政権は、自治政府主導の開発事業に強く反発。政府高官は「エクソンは中央政府かクルドかを選ぶ必要がある」と、事態の推移次第では同社との間で結ぶ南部の巨大油田・西クルナの契約を破棄する可能性も示唆した。
エクソンはその後、自治区での契約の「凍結」を発表したものの、撤退するか否かの結論は先送りされたまま。今年7〜8月には米シェブロンや、東部ハルファヤ油田に権益を持つ仏トタル、東部バドラ油田を手がけるロシア政府系天然ガス独占会社ガスプロム系の企業が相次いでクルドでの権益を取得した。
メジャーの自治区進出が加速している背景には、イラク各地でなおもテロが続く中、自治区は治安が比較的安定し操業上のリスクが少ないという事情がある。
また、中央政府との契約では原油1バレル当たりの報酬額が決められているのに対し、クルドでは産出原油の一定割合を企業側が取得できる生産分与方式が採られている。「中長期的に原油相場の上昇が見込まれるので、“現物”を確保できるクルドは魅力的」(商社関係者)だというわけだ。
自治政府には、メジャーと契約を結ぶことで、独自の石油開発を既成事実化し、中央政府からの独立性をさらに強める思惑があるとみられる。
イラクは、現在の日量300万バレルを5年間で倍増させる計画だとされる。自治区に触手を伸ばし始めたメジャーには、すでに権益を持つ油田で操業を担当する社もあり、実際に契約破棄などの制裁を科せば、生産に支障が出ることも想定される。政権側も強硬姿勢一辺倒には出にくい状況だ。
ただ、なし崩し的にメジャーの自治区進出を認めれば、自治政府の影響力が増し国内の微妙な力関係が崩れる恐れもある。政権側は米国などに、メジャー各社の動きを抑制するよう働きかけを強めているとされ、今後も自治政府と政権、各社の思惑が絡み合った綱引きが続きそうだ。
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