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国際政治・世界事情
4907
:
チバQ
:2012/08/20(月) 22:47:45
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120819/erp12081914480002-n1.htm
【東を向くロシア プーチンの思惑】
手詰まりで崩れた「車の両輪」
2012.8.19 14:48 (1/2ページ)
日本人抑留者が建設に携わったナホトカの目抜き通り(遠藤良介撮影)
日本と旧ソ連の歴史を、最も間近で見つめてきた港町。それがナホトカだ。
ソ連時代には極東でほぼ唯一、外国船に開かれた港で、シベリア鉄道支線の起点として日本からの旅人や貨物を受け入れる玄関口として知られた。第二次世界大戦後は旧ソ連各地で強制抑留を生き延びた日本人が、この地から望郷の思いを胸に祖国に帰還した。
グラトキフ第1副市長(67)によると、1947年春の時点でナホトカに収容されていた日本人抑留者は約4万人。市内には強制労働を課された日本人が造った通りや建物がそのまま残る。日本人墓地に埋葬されていた抑留犠牲者573人の遺骨はすでに帰国し、墓地跡の一帯は慰霊施設として整備されている。
そのナホトカが今、アジア太平洋諸国への資源輸出基地として脚光を浴びる。
同市郊外のコジミノには石油輸出ターミナルが建設され、2009年末から東シベリア産の原油が日本や韓国などに出荷されている。ターミナルの稼働に伴い、日本の原油輸入に占めるロシアの割合は10年には7%に達した。
東シベリアとコジミノを結ぶ「東シベリア・太平洋パイプライン」(ESPO)が年内にも全線開通すれば、「コジミノの石油出荷能力は年間3000万トンへ倍増する見通しだ」(同第1副市長)という。16年までに石油化学プラントを建設する計画もある。
世界最大の石油・天然ガス産出国であるロシアが、欧州方面に頼ってきた資源輸出の軸足を「東」に移しつつあるのだ。
■ ■
主要産油地だった西シベリアでの生産は減退期に入っており、ロシアは東シベリアの新規油田開発と東アジアでの販路拡大を急がざるを得ない。天然ガスについても、欧州市場は中東産の液化天然ガス(LNG)に食われ、米国では非在来型のシェールガス生産が本格化している。
日本は東日本大震災後にサハリン(樺太)からのLNG調達を増やし、昨年のLNG輸入に占めるロシアの比率は約9%にのぼった。ロシアは沿海地方ウラジオストクの郊外に国内2カ所目となるLNGプラントの建設を計画、日本企業も参入を狙っている。
資源エネルギー庁石油・天然ガス課の東哲也課長補佐は、「日本からこれだけ近い所に新しい資源の“蛇口”ができるのだから、エネルギー安全保障上の意義は大きい」と指摘。東方を重視するロシアについて、「彼らは東を向きたいし、われわれは資源供給源がほしい。やりたいことがかみあっている」と歓迎する。
■ ■
東アジアで塗り変わるエネルギー地図は、わが国の対露政策にも事実上の変容をもたらした。
日本はソ連時代末期、北方領土交渉が前進しなければ経済協力もしないという「政経不可分」の原則を転換し、それ以降は政治と経済を「車の両輪」ととらえて領土問題の解決を目指すとしてきた。
だが、ある日本の外交官は、「今は日本が(ロシアに)経済協力や支援をするという時代ではない。『車の両輪』などという表現を外務省はもう使っていない」と明かす。
別の在露外交筋も、「日露関係は領土だけでない。資源をどう日本向けに確保するかや、北朝鮮問題をめぐる協力もある」と指摘し、こう付け加えた。
「そもそも今のロシアは、日本が領土交渉で勝負をかけるべき状況にない」(遠藤良介、黒川信雄)
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