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国際政治・世界事情
3941
:
名無しさん
:2012/03/07(水) 22:07:00
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120307/erp12030715470003-n1.htm
【プーチンのロシアどこへ】
(下)「垂直の権力」に限界
2012.3.7 15:46 (1/2ページ)
汚職、格差…ゆがみ広がる
1800円相当のオレンジジュースや900円のヨーグルト、1200円の食器用洗剤…。モスクワで47店舗を展開する高級スーパーマーケットには、こんな商品がずらりと並んでいる。同市の平均月収は約11万3千円、年金は2万2千円ほどであり、庶民にはとうてい手が届かない。
ロシアでは所得が上位10%と下位10%の層で比べた貧富の格差が公式統計でも16倍を超え、地方間の所得格差も25倍に達している。モスクワなど大都市部には地方から労働者が流入して民族間の軋轢(あつれき)が強まり、共産主義体制下で育った高齢層と若年層では価値観や生活に大きな隔たりがある。
4日の大統領選で圧勝したプーチン氏は2000〜08年の前大統領期、「垂直の権力」と呼ばれる強権体制を構築した。これはソ連崩壊後に幾重もの「断絶」を抱え、バラバラになったロシアを再び「強い国家」としてまとめ上げる必要性を感じたためだった。
プーチン氏は地方知事の選挙や下院選の小選挙区制度を廃止して中央集権化を推進。主要経済分野についても国家統制を強め、重点分野への国家資金の集中的な投下を可能にした。
実際、前大統領期には1990年代の10倍にも石油価格が跳ね上がった恩恵も受けて、国内総生産(GDP)が年平均6%台で成長。プーチン氏は、ソ連崩壊後の混乱にあえいでいたロシアに安定と成長をもたらした「救国者」を自任するようになった。
プーチン氏は今回の選挙戦でも公務員給与の上積みや軍需産業の下支え、貧困地方への資金投下など国家主導の政策を打ち出しており、彼が約束した新たな国家支出は最大で27兆8千億ルーブル(約76兆円)と年間GDPの51%にもあたる。
だが、こうしたプーチン流の発展モデルには限界と危うさが指摘されている。
モスクワなど大都市部では中産階層の伸長に伴って政治の民主化を求める動きが高まってきた。官僚機構の肥大化による汚職は深刻さを増し、貧富の格差も2000年の14倍から16倍に広がっているのが現実だ。
地下資源輸出に依存する後進的な経済構造は改まっておらず、国庫収入に占める石油・天然ガス関連の比率が昨年は50%超。国際石油相場が1バレル=100ドルの水準を下回れば財政は一気に赤字に転落する。
モスクワ・カーネギー・センターのペトロフ研究員は「プーチン流の政治・経済システムは財政的に恵まれた時代に構築されたもので、プーチン氏がこのまま大衆迎合的政策を(任期の)6年間続けることはできない」とみる。いまだ脆弱(ぜいじゃく)な社会基盤を克服できないまま、山積する課題を抱えたプーチン氏のロシアが船出する。(モスクワ 遠藤良介)
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