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国際政治・世界事情
3936
:
名無しさん
:2012/03/06(火) 12:54:35
http://mainichi.jp/select/world/news/20120229ddm007030089000c.html
“反プーチン”の底流:ロシア大統領選/下 勢いづく「反移民」
モスクワ中心部のショッピングセンター前で雪かきに当たるナジビディさん(左端) 厳冬のモスクワで道路の除雪作業に動員されるのは、中央アジアなどからの労働者だ。3カ月前にキルギス南部から出稼ぎに来たナジビディさん(25)は、現在の具体的な収入は明かさなかったが「(母国に比べれば)悪くない」と話した。
プーチン首相が大統領時代(00〜08年)に経済成長を続けたモスクワは、旧ソ連の中央アジアやカフカス諸国から大量の労働者を受け入れてきた。その数は推定約200万人で市の人口の2割に相当する。だが正規の手続きで就労しているのは4分の1程度にすぎず、残りは非合法といわれる。市当局は移民労働者の年間受け入れ枠を07年の75万人から11年には16万人に減らすなど規制強化に乗り出しているが、安価な労働力への需要は大きく流入は止まらない。
これに対し、スラブ系ロシア人の若者らの間で「ロシア人のためのロシア」を叫ぶ民族主義的な機運が高まり始めた。10年12月にはモスクワ中心部のマネージ広場でサッカーファンや極右・ネオナチ勢力を含む若者らが暴動を起こし、市内各地で非スラブ系住民を無差別に襲撃する事件が発生。ロシア正教(スラブ系)とイスラム教(カフカス・中央アジア系)の宗教問題も絡み、事態を複雑化させている。
独立研究所「社会政策」のジュバレビッチ研究員は「スラブ系ロシア人の職が奪われたわけではなく、偏見に基づいた差別だ」と指摘。モスクワに住むチェチェン系ロシア人のアリハン君(15)は「数年前から学校にもネオナチ信奉者がいる」と話す。2年前にはチェチェン系の同級生が酒に酔ったロシア人に襲われて、鼻の骨を折られた。
民族主義者の不満は不法移民問題で有効な対策を打ち出せない政府にも向けられている。昨年12月の下院選後に始まった反政府抗議行動には一部の民族主義グループが参加。指導者の一人、ベロフ氏(35)は、チェチェンなど北カフカス地方への政府の財政支援について「怠け者(=北カフカスの住民)を養っている」と批判した。
3月4日の大統領選で返り咲きを狙うプーチン首相は1月の政策論文で「ロシアは多民族国家だ」と過激な民族主義を戒めた。一方で、不法就労者の取り締まり強化や外国人労働者へのロシア語試験の義務化を進める考えを表明した。昨年末に民族主義政党出身のロゴージン氏を副首相に起用したのも「民族主義層に支持を広げる狙い」(カーネギー国際平和財団モスクワセンターのペトロフ研究員)とされる。
だが、プーチン氏が掲げる愛国主義や大国復活路線が、ロシア民族主義を勢いづかせてきた側面は否定できない。かじ取りを誤れば、プーチン「次期」政権の安定が揺らぐのは避けられない。【モスクワ大前仁】
毎日新聞 2012年2月29日 東京朝刊
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