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国際政治・世界事情
3934
:
名無しさん
:2012/03/06(火) 12:52:44
http://mainichi.jp/select/world/news/20120227ddm007030119000c.html
“反プーチン”の底流:ロシア大統領選/上 中間層、海外へ「脱出」 汚職、民主化停滞に見切り
「この先、どんな政治の変化が起こるのか分からないので、平穏な国に第二の住居を買っておきたい」。モスクワで今月開かれたロシア国内外の不動産を紹介する展示会に来たファリさん(50)は、トルコやブルガリアの物件を探していた。会場には110社が出展し、外国移住を夢見る多数の市民が訪れた。
ファリさんは従業員1100人の企業で管理職を務め、月給4000ユーロ(約40万円)。ロシアでは中間層の上位に位置する。妻と長男(15)の3人暮らしで、「将来は海外を拠点として、息子に英語の高等教育を受けさせたい」と考える。社が禁じているため昨年12月の下院選の不正疑惑をきっかけに広がった抗議行動には参加していないが、「民主的な改革(の動き)を支持したい」と話す。次期大統領選は「支持できる候補がいない」ため棄権するつもりだ。
ロシアでは近年、国を離れる国民が後を絶たず、会計検査院は、ここ数年で125万人に達したと推測している。民間世論調査機関「レバダセンター」が昨年夏に発表した調査結果では、22%が国外移住を希望すると回答し、過去最高を記録した。91年のソ連崩壊前後は科学者ら推定数百万人が職を求めて欧米諸国などへ移住したが、最近の傾向は中間層が多いのが特徴だ。
海外移住の理由としては「生活費の高騰」や「医療水準の低さ」が上位の理由に挙げられるが、プーチン首相(59)が00年に大統領に就任して以来築いてきた抑圧的な政治体制や、硬直した社会に対する不満も背景にある。モスクワの大学4年生イーゴリさん(20)は「大統領選後の改革は期待できないし、今の政治体制が続くのならば別の国へ移民したい」と、移住の準備を兼ねて昨秋から英語学校の夜間コースに通い始めた。
ロシア社会に巣くう汚職も国外脱出の動きに拍車をかける。外資系企業に勤める40代の男性は、過去の勤務先で、通信施設の敷設業務の際に30以上の政府機関に賄賂を払った経験を持つ。00〜08年のプーチン大統領時代にロシアは年率約7%の経済発展を遂げたが、男性は「汚職を放置しなければ、倍の成長を遂げたはず」と指摘する。
プーチン首相は1月に発表した論文で、高学歴の国民を対象として、ハイテク分野を中心に2500万人の雇用創出を約束。国民の2〜3割を占める中間層に対し「将来は社会の過半数を占めるべきだ」と呼びかけた。一方、経済力をつけてきた中間層は、政治的な権利拡大や自由な社会を求める声を強め、プーチン氏との距離は確実に広がっている。【モスクワ大前仁】
◇
3月4日のロシア大統領選まで1週間を切った。大統領復帰を狙うプーチン氏の当選が確実視されるが、かつてない逆風も浴びている。ロシア社会に広がる「反プーチン」の底流を探る。
毎日新聞 2012年2月27日 東京朝刊
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