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国際政治・世界事情
3861
:
チバQ
:2012/02/18(土) 21:38:48
http://mainichi.jp/select/world/news/20120217dde007030038000c.html
パパ、どうしてドイツは…:多文化社会のスケッチ/4止 信号の人形いろいろ
旧東独時代から生き残った信号「アンペルマン」 ◇暮らしに息づく東独
「パパ、どうして信号のマークが違うの?」
5歳の娘、夏海(なつみ)は街角の信号にデザインされた人の形が何種類かあることに気付いた。目立つのはずんぐりした体形の愛らしい姿。旧東ドイツで使われた人気の形で、90年の東西統一後も市民から「保存運動」が起きた。今では、「アンペルマン」という名で観光客向けのキャラクターグッズにもなっている。
統一後、あらゆるものが旧西ドイツ基準になる一方で、「オスタルギー」という造語も生まれた。ドイツ語の東(オスト)と郷愁(ノスタルギー)を合わせた言葉で、東独文化を懐かしむ心情を意味する。代表的なのが「トラビ」の愛称を持つ東独小型車トラバントだ。
89年のベルリンの壁崩壊後、東の住民は武骨な真ん丸のヘッドライトを揺らしたトラビに乗って西になだれ込んだ。その姿を見た西の住民は、トラビを「走る段ボール」などと散々バカにした。だが旧東独ロストック生まれの保険代理店員、ユルゲン・ティーツさん(58)は「造りは確かにシンプルだが、修理は簡単。こんな便利な車はない」と今も乗り続ける。トラビは現在も約3万台がドイツの道を走っている。
「東独を美化すべきでない」とメルケル首相は過度な東独懐古に警鐘を鳴らすが、首相自身も東独育ち。壁崩壊時は東ベルリンに住む35歳の物理学者だった。「当日はサウナに入っていたが、壁が崩れたと聞き、すぐに友人と『現場』に行った。翌日、妹と一緒に真っ先に向かったのは西ベルリンのデパート」(欧米メディアのインタビュー)という東の女性が、今は首相になっている。
多様な価値観が交錯するドイツでは今日も、多彩な人々が生きている。【ベルリン篠田航一】=おわり
毎日新聞 2012年2月17日 東京夕刊
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