したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

国際政治・世界事情

3367チバQ:2011/11/10(木) 12:11:18
http://mainichi.jp/select/world/news/20111107ddm007030133000c.html
ソ連崩壊20年:第2部 国家分裂の果てに/1 「核遺産」外交材料に

敷地整備が進められる新型の原子力研究施設の建設地。例年よりも数週間早い初雪が敷地を覆っていた。=ウクライナのハリコフ近郊で、2011年10月18日、大前仁撮影 ◇管理に懸念、ウクライナ
 例年よりも数週間早い初雪がみぞれとなって降り続いていた。1930年代に核兵器の製造研究に取り組むなど、かつてソ連科学界をけん引したウクライナ東部のハリコフ物理技術研究所。敷地の一角では新型の原子力研究施設の着工を控え、重機を使った土地整備が進められていた。

 カルナウホフ副所長(74)によると、新施設は、ウクライナ国内に保管されている高濃縮ウランの放棄と「交換」に、米国などが電子加速器や低濃縮ウランを提供して建設される。低濃縮ウランから約50種類のアイソトープを取り出し、医療現場で利用する青写真を描く。

 研究所はソ連時代から残された高濃縮ウランを増殖炉の建設研究など「平和目的」に使ってきた。しかし「核なき世界」を目指す米オバマ政権が、核兵器に転用可能な高濃縮ウランを強奪される危険性を指摘し、ウクライナ側も「交換条件」を受け入れた。

 米国と覚書を結んだ9月、ウクライナのグリシェンコ外相(58)は「我々は平和と安定の構築で重要な役割を果たすことができる」と語った。だがロシアの軍事評論家ゴルツ氏(56)は「米国から支援を引き出す他の材料がないのでウランの引き渡しに踏み切った」との見方を示す。ウクライナは独立直後の90年代、国内に残された核兵器を放棄する過程で、米国から3億5000万ドル(約270億円)以上の支援を引き出した体験がある。

 91年のソ連崩壊後、戦略核弾頭が残されたウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンの3カ国は92年5月、核兵器の放棄とロシアへの移送に同意。最後となったベラルーシが96年11月にロシアへ移送を終えて完了した。だが研究目的などで保管されていた高濃縮ウランは残された。

 旧ソ連圏では依然として核物質や兵器を扱う闇市場の存在が指摘されている。今年6月、モルドバで高濃縮ウランを売ろうとした集団がおとり捜査で捕まり、4・4グラムが押収された。またユーシェンコ前政権(05〜10年)時代のウクライナでは、ソ連崩壊後にロシアへ引き渡されるはずだった戦術核弾頭250発が行方不明になっていたという報告が出されたこともある。

 核拡散を憂慮する欧米諸国は95年までに、ウクライナなど旧ソ連5カ国に研究者や技術の国外流出を防ぐ狙いで「科学技術センター」(本部・キエフ)を設立。これまで約1500件の研究事業で科学者の活動を支援してきた。センターのホード所長(48)は「核不拡散で前向きな影響を与えてきた」と強調する。

 一方、これらの国では研究施設が老朽化し、安全対策が国際基準に達していない問題も残されている。ハリコフ物理技術研究所のカルナウホフ副所長は、ソ連時代に6000人いた研究所の職員が半減し、「多くの若手研究者が欧米などへ移住した」と証言する。旧ソ連諸国で「核の遺産」の管理をめぐる懸念は消えていない。【ハリコフで大前仁】

     ◇

 ソ連崩壊は15の独立国を誕生させたが、多くの課題も引き継がれた。第2部では旧ソ連圏に残された問題を取り上げる。=つづく

==============

 ■ことば

 ◇高濃縮ウラン
 天然ウランは、大量の熱エネルギーを出すウラン235の含有率が約0・7%しかないため、濃縮して原発燃料や兵器に使用する。原発用は含有率5%程度に濃縮したもの。20%以上は高濃縮ウランと呼ばれる。核兵器用には約90%に濃縮する必要がある。

毎日新聞 2011年11月7日 東京朝刊


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板