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国際政治・世界事情
3153
:
チバQ
:2011/10/06(木) 22:45:29
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110708/fnc11070808090003-n1.htm
深刻な食料インフレ 非効率な農業、改革急務
2011.7.8 08:06 (1/3ページ)
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種をまくインドの女性。農業分野の改革の遅れがインフレ懸念を加速させている(AP)
高水準で推移しているインフレが、インド経済の成長見通しを不透明にしている。中央銀行にあたるインド準備銀行(RBI)は6月16日、2010年3月以降、10回目となるレポ金利(公定歩合)の引き上げを実施した。しかし、その効果は挙がっているとはいいがたい。経済学者らは「金利の引き上げによる効果は焼け石に水。根本的な問題は、非効率さを残す農業分野の改革の遅れにある」と警鐘を鳴らしている。
◆物価指数が加速
「インド経済が抱える主要問題はインフレだ」
ムカジー財務相は5月27日、米ワシントンでの会合でこう語り、高インフレ率に懸念を示した。インドのインフレ指標となる卸売物価指数(WPI)は、08年8月の12.91%をピークに8〜9%台を行き来する状況が続き、今年5月は9.06%で前月(8.66%)から加速した。
世界的な原油の高騰を受け、政府は5月、ディーゼル、灯油、プロパンガスの価格を引き上げた。原油高は、短期的には食料価格の高騰にも跳ね返る。「インフレは7月までには10%近くにまで上昇するだろう」(首相経済諮問会議のC・ランガラジャン議長)との見方が一般的だ。
経済が成長を続けるインドのような国では、インフレは不可避との声もある。しかし、この事態が続けば、経済成長の足を引っ張る結果にもなりかねない。昨年度の経済成長率は8.5%。今年度、政府は8.5〜9%を目指すが、このままインフレ対策に重心を置き続けざるを得ないようだと、7〜7・5%の達成がやっととの見方が広がる。
◆“制約”が足かせ
世界的な金余り現象が続き、新興国経済に資金が流れ込む状況は、中国をはじめ世界中でインフレ懸念を招いている。
その中で、まだまだ社会に有形無形の規制や障壁が残るインドは、結果的に投機マネー流入の猛威からは一定程度距離を保つことができていた側面もあった。
その中で今、高まるインフレ懸念。ニューデリーのビジネススクール「FORE経営大学院」のマシュー・ジョセフ教授(経済学)は、「所得増によって食料の需要が高まっているのに、国内農業が抱えるさまざまな“制約”によって、食料生産が見合っていないこと」が要因という。
農業は、かつての社会主義体質がもっとも根強く残る分野だ。農民は肥料のコストがかかった分だけ政府から補助を受けることができ、できたコメと麦も政府が買い取る。これでは効率性や生産性を上げようとする動機が生まれない。
経済学者のモハン・グルスワミ氏は「インドが経済成長率8.5%を達成するためには、農業分野は年率4%で成長しなければいけないが、現在の成長は1.6%にとどまっている」と、生産性の低さを嘆く。
「インドは1990年代の経済改革で産業の自由化を図ったが農業改革には手をつけなかった。農業改革が実現され、生産性が向上され、価格についても市場原理が導入されない限り、インドは高インフレを克服できない」。ジョセフ教授はこう言い切る。
◆投資に悪影響も
2010年度のインドへの外国直接投資(FDI)は、前年度比25%減の194億2700万ドルにとどまった。海外投資家のインド株に対する関心にも鈍化が見え始めたといわれる。その一因にインフレがあるのは間違いない。
そもそも、急騰を続ける食品価格は国民の財布を直撃し、国民の怒りはふくらむ一方だ。利上げが思うような効果を挙げない中、インドはインフレ抑制に向け待ったなしの農業改革を迫られようとしている。(ニューデリー 田北真樹子)
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