したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

国際政治・世界事情

3098チバQ:2011/09/26(月) 19:48:04
  ■

 混乱が簡単に収まりそうにないという点では、エジプトも同じだ。だが「エジプト人の間では、7、8年混乱が続くかもしれないが、いい方向に向かうだろう、という人が大半です」と話すのは、今月、約半年ぶりに現地に入った早稲田大学イスラーム地域研究機構の鈴木恵美准教授。「十分に機能しなかったとはいえ、エジプトでは政党を作り議会で議論を戦わせた経験という土台がある」

 エジプト人民議会(国会)選挙は11月21日から始まる予定だ。新議会では、エジプト民主化の象徴となったタハリール広場の民主化勢力が新生国家の担い手として登場するのだろうか。鈴木さんによると、民主化勢力はいずれも小規模で組織化されていない。「エジプト民主同盟という組織を結成しているが、それがひとつの政党になるのかどうかは何とも言えない状況」。現状で、組織化された政治勢力といえるのは、イスラム原理主義組織であるムスリム同胞団だけという。米同時多発テロの9・11から10年の節目となる今年、「アラブの春」による民主化が原理主義をもたらすとしたら皮肉な話だ。

 選挙に向けて民主化勢力が警戒しているのは、「アラブの春」の実りを同胞団にさらわれることと、ムバラク政権を支えた旧与党勢力が名前を変えて復活することの2点、と鈴木さんは指摘する。

 いずれにしても新政権では宗教色が強まりそうだが、エジプトが民主的で穏健なイスラム国家として再出発できるかどうかが、今後のアラブ世界の行方を左右する、と鈴木さんはみる。「エジプトはさまざまな知識人を輩出してきたし、人口も突出して多い。先に革命が起きたチュニジアも、政権が倒れかかっているシリアやイエメンの国民もエジプトを注視している。50年代初めにエジプトで起きた共和主義革命が十数年かけて中東各地に及んだように、エジプトが他の国に与える影響は大きい」

    ■

 「欧米が身勝手に考えている『アラブの春』というような状況ではない」。こんな厳しい見方を示すのは、静岡県立大の宮田律准教授。

 中東における民主体制確立の難しさについて、宮田さんはこんな例を挙げる。「イランでは、独裁的なパーレビ王政を革命で倒したが、政治的な混乱が起き、別の強権的な体制が生まれた。エジプトでも王政を打倒して、軍部が政権を握った。一方、フセイン後のイラクでは殺し合いが続いている。国民にとって望ましいかどうかは別ですが、強権的な政権の方が安定しているというのは現実です」。欧米の価値観に合うような政治体制に移行するのではなく、部族・宗派間対立による内戦、あるいはイスラム武装勢力によるテロの横行、そしてついには別の独裁的な体制−−こうした状況に至る可能性もある、と言うのだ。

 そもそも、こうした独裁体制が中東諸国に築かれたのはなぜか。「今回政権崩壊した3カ国の指導者はいずれも軍の出身。アラブでは、イスラエルの建国(1948年)以降、安全保障が重視され、軍が強い力を持つ条件があった」。軍部の指導者がクーデターなどで政権を奪取し、実力組織を背景に権力の座に居座るというのがアラブ世界の独裁長期化の構図だった。

 エジプトのシャラフ首相が対イスラエル政策の見直しを示唆するなど、アラブ・イスラエル関係も動き始めている。「(イスラエルと全面衝突はしない)シリアのアサド政権が崩壊すると、不安定化でどんな勢力が出てくるかわからず、イスラエルはさらに追い込まれる。政権が動揺している国、混乱している地域にはイスラム原理主義が勢力を伸ばす余地が生まれる」。欧米が介入することで大きな混乱を招いてきたのが中東世界の現実と宮田さんは指摘する。

 「春」といっても本当の民主化にはなお時間がかかりそうだ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板