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国際政治・世界事情

2978チバQ:2011/09/02(金) 23:15:19
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110818/mds11081807310000-n1.htm
【山内昌之の中東を読む】
夏休み特別講座 イランの権力闘争(上)  
2011.8.18 07:24 (1/3ページ)

「逸脱傾向」めぐり“聖俗”攻防


 日本人は国内の政局に目を奪われて、外交安全保障への関心を失いがちである。しかしアラブの体制変革やイランの権力闘争の行方は、石油を中東に依存する日本としても無視できない。とくにイスラム体制下のイランの「逸脱傾向」をめぐる権力の攻防はあまり知られていない。

 この言葉は、大統領選挙が行われた2009年に、最高指導者ハメネイに近い「ケイハン」紙上で、共和国の敵による「逸脱傾向」の陰謀という表現で初めて現れた。これが当時の大統領候補で改革派の元首相ムサビを指したのは明らかである。が、翌10年に君主制の伝統とイラン・ナショナリズムを蘇生(そせい)させる「逸脱傾向」が批判されたとき、人びとはその正体をいぶかしく思った。

 しかし、まもなく「逸脱傾向」は「支配エリートの内部、政府部内にさえある」という表現が使われると、慧眼(けいがん)なイランの市民はおよその見当をつける。そして11年初め、同紙がこの「危険な性格」をもつ「逸脱傾向」の指導者をE.M.と頭文字で呼ぶにいたって、イラン人は謎の人物がエスファンディアル・マシャイであると分かったのだ。

 マシャイは大統領アフマディネジャドの特別補佐官にして官房長官であるが、その実は大統領の師にほかならず、最高戦略家として独特なカリスマ性を誇っている。現代のイラン政治は、シーア派宗教者たる最高指導者ハメネイとアフマディネジャドとの権力闘争が本筋であるが、そこにむきだしの権力欲でなくイデオロギーが入るのはマシャイの存在が大きい。

 今年の5月に「ケイハン」紙は、「アフマディネジャドの逸脱傾向」を露骨に批判し、ハメネイとアフマディネジャドは毎日のように批判を応酬しあうようになった。

 アフマディネジャドは、マシャイの意を受けて、ペルシャ語からアラビア語などの外来語の語彙をはずす言語の民族化をはかり、フランス語に由来する19世紀以来の警察を指す「ポリス」をペルシャ語の「パースファル」に置き換える決定をした。

 しかしハメネイは「イスラムへの脅威と見なされるイラン・ナショナリズムの兆候」として変更を認めなかった。イスラムの権威がキリスト教徒のフランス語を弁護して伝統あるペルシャ語の利用を禁止するあたりに、イランの「イスラム政治体制」の珍妙さが垣間見られる。

 さらにハメネイ派は、アフマディネジャドがハメネイに反対する共同戦線のために「緑の党」と秘密接触をしていると批判した。そして、公安警察は大統領の側近50人以上を逮捕したのである(アミール・ターヒリー『アッシャルクルアウサト』11年6月3日)。

 09年の大統領選挙で蜜月状態だったアフマディネジャドとハメネイとの間に、何故にこれほどの亀裂が生じたのだろうか。少し前までアフマディネジャドは、イラン・イスラム革命後の30年間に生まれた5人の大統領のうちで、いちばん強力な政治家と目されていた。大統領選から民主化を求めてきた「緑の運動」の沈黙とともに、アフマディネジャドの好敵手は姿を消したかに見えた。

 しかし、アフマディネジャドがホメイニの「イスラム法学者の支配」理論でなく、マシャイに触発された「イランのイスラム」の教理を広げようとしたのは、最高指導者だけでなくシーア派の宗教者への挑戦に映った。

 30カ国語に訳された自伝『アフマディネジャド・世紀の奇跡』は100万部を売ったとされる。彼の側近は、09年の大統領選挙でもしハメネイと組んでいなかったなら、2500万票でなく3500万票を獲得していたと豪語する。宗教者と組んだせいで1千万票も損をしたというのだ。12年の国会議員選挙では3分の2の議席を獲得できると自信を見せている。

 宗教者はモスクに帰れ、ペルシャ語からアラビア語を放逐せよ、イラン帝国よ蘇生せよ。これは、脱イスラムで近代化を目指した隣国トルコの建国の父、ケマル・アタチュルクの世俗主義改革を想起させる。アフマディネジャドらの主張も不愉快であるが、対立の焦点はイデオロギーというよりも宗教者が巨大利権をにぎる世俗権益の問題にあるのだ。

 アフマディネジャドは過去5年間、国家に入るべき収入を私物化して財政を破綻させた宗教者、軍、治安維持機構のもつ利権構造やハメネイに関係する「財団」の力を弱めることに腐心してきた。戦略を練ったのはマシャイである。彼はとくに石油収入を国家と政府が管理し、無責任な既得権益集団に使わせないように工夫した。争いは目立たぬところから火蓋(ひぶた)を切った。


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