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国際政治・世界事情
2877
:
チバQ
:2011/07/30(土) 15:39:37
>>1073
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110729-00000124-san-bus_all
ロシアで事実上、清涼飲料水だったビールをアルコール規制へ
産経新聞 7月29日(金)7時55分配信
拡大写真
ロシア西部カリーニングラードの大型量販店にずらりと並ぶ各種のビール (国営ロシア通信)(写真:産経新聞)
【クレムリン経済学】
■法改正の陰にウオツカ・ロビー
“アルコール天国”のロシアでこのほど、ビールをアルコール飲料(酒)と認定し、その販売や飲用場所を制限する法改正が成立した。ロシアでは事実上、ビールが清涼飲料水とみなされてきたが、政権の節酒政策がロシアを代表するウオツカなどにとどまらず、ついにビールにも及び始めた形だ。ソ連崩壊後に急伸したロシアのビール市場は転機を迎えつつある。
◆禁酒場所を拡大
ロシアでは従来、アルコール度数が15%以上の飲み物が法的に「酒」とされてきた。メドべージェフ大統領が20日に署名した法改正は酒に分類する飲み物のアルコール度数を0・5%まで引き下げ、度数が平均5%程度のビールも含める内容だ。
2013年1月の改正法施行後は、飲食店を除いて午後11時から午前8時までビールの販売が禁じられ、キオスク(売店)や露店では全面的にビールを売れなくなる。飲酒が禁じられる場所もアパートの中庭や共用玄関、森、公園、砂浜などに拡大された。
ソ連時代のビールはひどくまずいことで知られたが、1991年のソ連崩壊後は外国メーカーも参入してビール市場が百花繚乱(りょうらん)の様相を呈した。ビールの消費量は95年の年間1人あたり15リットルから2007年の同81リットルまで5・5倍に拡大。ただ、その後は08年の世界同時不況や10年1月にビール税が3倍に引き上げられたことのあおりで市場が縮小に転じた経緯がある。
ビール業界世界4位のカールスバーグ(デンマーク)傘下にある露最大手バルチカは10年、ビール税引き上げを受けて前年比で17%の減益。今回の法改正はビール業界をさらに締め付けるものといえ、ロシアを“草刈り場”とみてきた国際的大手メーカーの間で懸念を呼んでいる。
メドべージェフ政権が09年に明らかにしたところでは、ロシアでは国民1人あたりの年間飲酒量が純アルコール換算で18リットル(ウオツカ50本相当)と世界最多。世界保健機関(WHO)が「危険」とする基準の2倍を超えている。アルコール依存症の国民は300万人にのぼり、ロシア人の死因の少なくとも4分の1は飲酒関連とされる。
人口の急減に悩む政府は酒税の引き上げや販売・広告規制によって10〜20年でアルコール消費量を半減させる方針。ロシアの代名詞であるウオツカについては昨年1月、最低販売価格が0・5リットルあたり89ルーブル(約249円)とそれまでの2倍に改定されている。
◆果たして効果は
政権がビールも標的にし始めた背後では、ビールにシェアを奪われてきたウオツカ事業者による強力なロビー活動も指摘されている。アルコール消費の約3割を占め、若年層の「アルコール依存への入り口」となっているビールの規制こそ強化すべきだというのがウオツカ・ロビーの主張だ。
大手ウオツカ・メーカー「ロススピルトプロム」出身のズワゲリスキー下院議員は、安価なペットボトルによるビール販売なども規制すべきだと訴えてきた。
他方、ビール業界は全く正反対に「ビールを敵に回すことはアルコール依存からの脱却を阻害するだけだ」(エクスペルト誌)と反発する。国民をアルコール度数の高い酒からビールに移行させることこそが得策だというのだ。実際、ビール税が引き上げられた昨年はビール生産量が前年比で5%落ち込んだのと引き換えにウオツカが8%伸びており、ビールの規制が全般的な節酒につながるのかは現時点で不明だ。
ロシアでは帝政時代以来、時の権力が節酒令を出しては、なし崩しになってきた歴史がある。ソ連末期の1985年には当時のゴルバチョフ政権が厳しいアルコール制限を打ち出したものの、国民の猛反発を招いた上に密造酒による死者が急増する結果を招いた。この国での「酒との戦い」が容易でないことだけは間違いない。(遠藤良介)
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