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国際政治・世界事情

1653チバQ:2010/10/04(月) 19:49:45
http://www.yomiuri.co.jp/column/world/20101004-OYT8T00315.htm?from=navlc
イギリス「紳士クラブ」の本音
欧州総局長 鶴原徹也
 英国の政治、外交や歴史、文化などについて専門家に意見を求める場合、オックスフォードやケンブリッジといった名門大学に足を運ぶことが多い。教授たちは例外なく紳士で、親切に説明してくれる。

 ロンドンから列車でそれぞれ1時間余りかかり、しかも極東の新聞記者の来訪とあって、「教職員食堂でお昼をごちそうしましょう」と誘ってくれることもしばしばだ。食事はたいしたことはない。ビュッフェ式で、主に肉の主菜と温野菜の副菜の組み合わせだ。食事が済めば、「コーヒーは場所を変えて」ということになり、中庭の眺めの良い、喫茶室へ所を変える。こちらは「教職員食堂」より選りすぐれの場所であり、彫像や伝統的な応接セットの備えられた特等席のような案配である。教授たちがひとり、あるいはふたりで打ち解けた話をするような風情があり、言ってみれば「紳士クラブ」の雰囲気がある。

 英国は階級社会だ。上院議員が貴族の称号のある選良の集う場であることも象徴的な一例だが、それ以上に「金持ちの子が金持ちになる」といった暗黙のおきてがある。「金持ちの子……」の差すところは、「格別の教育を受け、その競争を勝ち抜いたものには相応の職と給料が与えられてしかるべきだ」といったことだ。

 英国は20世紀末に労働党のトニー・ブレア氏が首相になり、長期労働党政権が今年5月まで続いた。普通、労働党は「結果の平等」とはいかないまでも「機会の平等」を求めるものであり、「金持ちの子……」という状況を改善する責務があるはずだが、現実には労働党政権のもとでも社会格差は拡大した。法外ともいえる高額の学費が必要な私立の中等教育機関で学ぶのは国民の7%と言われるが、この7%が国を動かす職に就いている。法曹会、官界、メディア、政界などだ。

 そういう人々が集う場所がロンドンの紳士クラブである。オックスフォードやケンブリッジを出た、私立出身者が社会に出ても、なおも育った環境の似通った仲間と気兼ねのない雰囲気で交友する場所を求めているかのようだ。

 今春の総選挙に勝利し、第3党の自民党との連立ながら13年ぶりに政権に復帰した保守党には「紳士クラブ」文化が濃厚だ。しかも、首相のデビッド・キャメロン氏は名門私立イートン校出身だ。

 ただ、上流であることはもはや前面には出せない。有権者の大半は無論、上流ではない。キャメロン氏は夫人同様に貴族の系統の出自だが、カメラの前では自転車に乗り、市場の果物をほおばってみせる。

 英国人の30代の知人からこんな話を聞いた。彼が高校時代、他校とのサッカー試合があった。部員は「必勝」を誓い合い、試合に臨もうとしたが、担当の教官は「勝利よりも仲良くすることが大切。勝つ必要はないんだ」と宣言したという。

 つまり勝ち負けを重視するよりも、「参加することに意義がある」といった思想を奨励しようとする構えだ。これは「機会の平等」ではなく、「結果の平等」こそが重要である、という姿勢だろう。

 ただ、実際には物事はそう単純ではない。英国は相変わらず階級社会ではあるのだが、それを正しいとは言えない風潮ではある。従って、支配層は他者には優しく親切に振る舞い、「結果の平等」を求めるポーズをとりつつ、気心の知れた選良で作る紳士クラブの面々で国を牛耳って行きたいと考えているのではなかろうか。家柄の良さは副首相で自民党党首のニック・クレッグ氏も同様である。

(2010年10月4日 読売新聞)


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