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労働運動

1971とはずがたり:2019/06/21(金) 23:12:19

 最低賃金導入に反対だった保守党は、ブレア政権を攻撃する材料として、最低賃金導入のアラを探すべく、多くの研究者に分析を依頼しました。その結果、イギリスの事例は徹底的に研究されることになったのです。反対派の期待もむなしく、イギリスでは最低賃金の導入により、予想以上に大きな成果が生まれました。

 イギリスでは1999年から2018年まで、毎年平均4.17%も最低賃金が引き上げられ続けました。この間、最低賃金は実に2.2倍になったにもかかわらず、インフレには大きな悪影響もなく、生産性も上昇しています。2018年6月の失業率は4.0%で、1975年以降の最低水準です。1971年から2018年までの平均である7.04%を大きく下回っています。

 次回以降の記事では、最低賃金引き上げのメリットを説明する予定ですが、今回は最低賃金の引き上げに対して、日本で必ず沸き上がる反対意見を紹介し、それらの間違いを指摘しておきたいと思います。

最低賃金を引き上げても失業者が増えるとは限らない
 最も典型的かつ、たくさん上がる反対意見は「最低賃金を引き上げると失業者が増える」というものです。この意見は新古典派経済学の説に基づいています。

 新古典派経済学では、市場経済の下、労働市場は価格形成が効率的に行われているという前提が置かれています。そのため、最低賃金を引き上げると、失業者が増えるという理屈が成立します。確かに昔の教科書には、そのように載っていました。

 しかし、この仮説はすでにいくつかの国での実験によって否定されています。イギリスを含めて、各国のデータを分析すると、最低賃金をうまく引き上げれば、失業率は下がる事例が多く、上がる例は比較的少数派です。

 つまり、実験によって新古典派経済学のこの仮説は完全に否定されたのです。では新古典派経済学の仮説は、何が間違っていたのでしょうか。

 答えは、実際の労働市場における労働価格が、教科書のように効率的には形成されていないことにあります。仕事や雇用に関する情報は完全ではありませんし、転職には障壁もあります。また労働者層によって労使間の交渉力が違うので、完全に効率的な価格形成はされないのです。

 日本での最低賃金引上げに反対の声を上げる人たちの中には、2018年の韓国の失敗例を持ち出す人もいます。この人たちの意見を否定するのは簡単です。

 先ほども説明したように、最低賃金を引き上げると必ず失業者が増えるという単純な事実は存在しません。最低賃金は引き上げ方次第で効果が変わるのです。

 最近よく言われるようになったのは、最低賃金を賢く引き上げ、経営者がパニックにはならず、ショックを与える程度に引き上げるのが効果的だという説です。アメリカのある分析によると、12%以上の引き上げは危険な水準であるとされています。韓国政府も事前にこの分析を読んでいれば、2018年のように最低賃金を一気に16.4%も引き上げるという、混乱を招く政策を実施することもなかったのではないでしょうか。

 韓国の失敗は、いっきに引き上げすぎたという、引き上げ方の問題でした。経営者がパニックに陥り、経済に悪影響が出たと解釈するべきです。

 2018年、安倍政権は最低賃金を3%引き上げました。正しい判断です。しかし、このとき、経営者から悲鳴のような抗議の声は上がりませんでした。ということは、この程度の最低賃金の引き上げは、彼らにとってショックですらなかったと判断できます。この程度の引き上げ幅では、まだまだ不十分だったのでしょう。

 2019年は消費税の引き上げも予定されているので、最低賃金は少なくとも5%の引き上げが必要なのではないでしょうか。


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