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労働運動

1828とはずがたり:2018/09/26(水) 12:08:26
>>1827
● 製造業は非価格競争力が弱点 牽引する産業がない日本

 産業別の生産性を見たとき、日本の製造業は確かに相対的に高い生産性を誇っている。米国には及ばないが、ドイツとイギリスとは並んでいる。

 ただ日本の場合、産業の中で、製造業が突出して生産性が高いというわけではない。米国では、全体平均に比べて製造業の生産性は1.47倍と高い。日本は1.39倍であり、米国ほどではない。

 ドイツは、就業者1人当たりの製造業の生産性は米国ほど高くはないが、総労働時間は日本の約8割であり、時間当たり生産性は日本の25%ほど高い。また、時間当たり賃金は7割も高い。

 日本の製造業は、生産性はそこそこ高いのだが、ドイツや北欧諸国に比べて非価格競争があるとはいえない。このことは、労働費用の安い新興国との価格競争に巻き込まれやすいことを暗示している。

 また産業別に見た生産性の高さのランキングでは、日本は図表2の7ヵ国の中で、製造業が3位であることを除くと、電気・ガス・水道の4位で、他の業種は軒並み下位である。

 このことは、日本で突出した生産性を誇っている産業がないことを示す。つまり、日本の生産性を上位に引っ張っていく産業の不在が、低生産性の特徴といえるのだ。

● 就業構造にも原因 高スキル職の割合が低い

 筆者は、日本の生産性が高くない理由が、スキル=人的資本の蓄積によって製品や商品の価格やサービス単価を引き上げていこうという意識が弱いからではないかと考える。

 高付加価値化の追求が必ずしも徹底されていないと言い換えてもよい。

 このことは、就業者を職業別に分類してみても、専門職・技師の割合が少ないことでもわかる。

 代わりに、事務補助員、サービス・販売員、単純作業の従業者は多目である。

 これだけで確定的なことは言えないとしても、スキルが求められる職業の割合が低く、サービス業従業者などの汎用性のある職業の割合が高いことは、日本でスキルを重視した職業が少ないことをうかがわせる。

 また、就業者の労働形態では日本は短時間労働者の割合が高く、かつ短時間労働者はフルタイム労働者の賃金の56.6%の水準しか受け取っていない(図表3)。このフルタイムとパートタイムとの賃金格差は欧州諸国と比べても大きい。

 ◆図表3:就業者に占める短時間労働者の割合(2016年)

● 高齢化のトレンドは逆風 低賃金の短時間労働者増える

 今後、日本の高齢化が進んでいくと、企業内の人員構成は50・60歳代のウエイトが高まるだろう。そのとき、現在よりも、技能・専門職が増えていき、企業の高付加価値化は進むのだろうか。

 2015年の総務省「国勢調査」では、55〜59歳の雇用者の非正規比率は26.0%だが、60〜64歳になると36.3%、65〜69歳では39.0%と上昇していく。このデータは、企業内人口構成がシニア化するほど非正規する傾向を示している。

 日本は短時間労働者の割合が高く、しかも低賃金であることは述べたが、おそらく、これはサービス化と高齢化に伴う変化ともいえよう。そうであるなら、今後、低賃金の短時間労働者が増える傾向がますます強まると考えた方がよい。

 このことは日本が今後、生産性を高めていく場合の大きな課題になる。

 また、産業別にみて、生産性上昇を牽引するセクターが見当たらないことも述べた。製造業は、米国やドイツに比べると、まだ劣位にある。

 今後、非価格競争力を高めてさらに突出した生産性を目指すことが課題だろう。成長戦略として、貿易連携などを軸に、日本の強いところを伸ばしていく構想も求められる。

 (第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト 熊野英生)

熊野英生


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