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労働運動

1722チバQ:2018/05/03(木) 15:26:57
実に10年ぶりの制度利用

 今回のストライキに際して、ブラック企業ユニオンはこの規定を活用している。管轄のハローワークに、ストライキの実施を電話で通報した結果、5月3日現在で、ジャパンビバレッジ東京の東京駅支店の求人票は、ハローワークで受け付けを拒否する状態になっている。なお、担当のハローワーク職員によれば、このシステムを利用したのは実に10年ぶりだという。いかに日本でストライキという武器が生かされていないかがわかるというものだろう。

 ブラック企業ユニオンの所属する総合サポートユニオンでは、この制度を頻繁に使用している。昨年、仙台市内の介護施設で組合員10名以上がストライキを通告した際にも、ハローワークに通報して求人票を停止させている。担当者によれば、仙台でこの規定を利用したのは史上初だったという。しかも、このときは仙台どころか、宮城県以外の全国での求人が広範に停止されている。

 ハローワークによるストライキの保護という仕組みは、一見すると奇妙に思えるかもしれない。しかし、「求人」に歯止めをかけることは、実は労働組合にとって本質的な活動なのである。

労働市場を規制するのが労働組合の役割

 そもそも、労働組合の歴史は、労働市場をいかにコントロールするかという歴史にほかならない。19世紀前半のイギリスの例を見てみよう。当時、労働組合の本部がおかれていたのは、大衆酒場である「パブ」であった。古くからパブでは酒を飲みながら、職業情報が交換されていたが、それを労働組合が制度化していた。失業者がパブに登録できるようになっており、登録順にパブの経営者から仕事先を斡旋される職業紹介制度が確立されていたのだ。

 さらに、これを土台にして労働組合が活動の中心に据えたのが、「遍歴制度」である。労働組合に「遍歴カード」を発行された職人が町を渡り歩き、その職業の象徴である紋章のついたパブに行くと、食事とベッドが支給され、指定された仕事先で働けるというシステムだ。

 このシステムは単なる福利厚生ではなく、まさに労働市場に働きかけるための制度であった。地域に労働者の数が過剰になってしまうと、労働者同士の競争が激化し、労働条件が下がってしまう。そこで、労働者を他の地域に分散させることにより人数をコントロールし、労働条件を改善させるための手段だったのである。

 さらに、労働組合の条件を雇用主が飲まないと、職人を積極的に遍歴に出すことで、労働者の供給じたいを止めていた。これはストライキそのものである。

採用に歯止めがかかると、業務が立ち行かなくなる

 このように、職場を横断して労働市場をコントロールし、労働条件の改善を雇用主に迫ることが、労働組合の本質的な役割である。日本の労働組合は企業別がほとんどであるため、企業の外部である労働市場に目を向けた行動はほとんど行われてこなかった。

 しかし、ブラック企業では、この労働市場戦略がより効果をもたらす。ブラック企業においては、長時間労働やパワハラで労働者を使いつぶすまで働かせて利益を上げ、彼らが辞めると、代わりの労働者を大量に採用するというサイクルが常態化している。ということは、採用に歯止めをかけられてしまうと、たちどころに業務が立ち行かなくなってしまうことになる。このため、ブラック企業と闘うためには、労働組合を通じたハローワークによる採用規制が、極めて大きな効果を持つのである。

 これまで、ジャパンビバレッジとブラック企業ユニオンの闘いを通じて、順法闘争やストライキ、ハローワーク戦術と、労働組合が取ることのできる様々な戦術を紹介してきた。5月6日、ブラック企業ユニオンが主催するイベントでは、これまでの同社との闘いが報告される。筆者もゲストとして発言するが、ブラック企業と闘ってみたいという人は、ぜひ参加してみてほしい。

(今野 晴貴)


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