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労働運動

1624とはずがたり:2017/12/29(金) 10:09:57
>>1621-1624
景気拡張過程で実質賃金が低下
アベノミクスの「隠された本質」
 一体、今、日本社会では、どのような事態が進行しているのでしょうか。

 第16循環の拡張過程では、確かに名目賃金は0.6%(年率)上昇しました。しかし、物価はそれ以上に上昇し、実質賃金上昇率は△0.8%(年率)となったのです。

 景気拡張過程に実質賃金がマイナスとなったような歴史は存在しません(図4)。

http://tohazugatali.web.fc2.com/labor/img_2e70ecdc87306784e181901902721b3476977.jpg
(注)
(1)賃金は現金給与総額で、産業計、事業所規模30人以上の四半期の指数(季節調整値)を用いた。
(2)各景気循環の拡張過程についてみたものである(第16循環は2017年第Ⅰ四半期までの期間とした)。
(3)変化率は、起点を100の指数系列として推計した線形関数の傾きとし、年率に換算した。
(4)消費者物価上昇率は名目賃金上昇率から実質賃金上昇率を差し引いた値とした(消費者物価指数のうち帰属家賃を除く総合に該当するもの)。

 バブル崩壊前までは、物価上昇率を超えて名目賃金の上昇が達成され、実質賃金上昇率も高い伸びを示していました。

 1991年のバブル崩壊は、日本の労使関係に大きな衝撃を与えたのですが、実際の賃金交渉パターンに影響を与えたのは、不良債権問題などで経済停滞する中で無理に「財政構造改革」を押し進めた1997年の経済失政と、その後の非正規雇用化の進展です。

 物価は低下に転じ、平均賃金も低下する場合が出てきました。ただし、実質賃金の上昇率はプラスを維持していたのです。

 現在の第16循環で進行していることは、名目賃金上昇率に対し、物価上昇率が大きいということです。

これは、今までにない新しい事態の出現であり、巧妙に隠されたアベノミクスの本質でもあります。

 超金融緩和で円安の流れを作り維持することで、輸出企業の生産を支え経済を活性化させようとしますが、輸入物価の上昇や資源価格の上昇を招き寄せてしまっているのです。

 もちろん、物価上昇率は、日本銀行が目指す「2%」に比べれば小さいのですが、労働者が獲得する名目賃金の伸びに比べれば大きな数字です。

 そして、実質賃金の低下は、企業収益の改善に大きく貢献し、輸出の増加にも寄与しています。

 金融の異次元緩和を通じた円安傾向と輸入物価の上昇は、2013年から明らかになりました。

 2014年4月の消費税率の引き上げには、価格転嫁の環境を整えるためにも、国内物価の上昇傾向は不可欠であり、円安による輸出の促進、財政による下支えによって総需要の拡張傾向が生み出され、輸入物価の上昇など諸コストの増加は、消費者物価に転嫁されました。

 また、円安によって、日本の株価に割安感が生まれ、株式市場も活況を呈するようになったのです。

 こうして、政府は、予定通りに消費税率を引き上げ、企業は価格転嫁を進めました。

 しかし、働く人たちは、わずかばかりの賃上げを手にしたものの、より多くの支出を余儀なくされ、物価上昇によって実質所得を収奪されることとなったのです。


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