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労働運動

1623とはずがたり:2017/12/29(金) 10:09:38

 また、失業率の改善についても、今回の拡張過程では特異な状況が見られます。

 雇用者数の増加により失業者は減っていきますが、今回の雇用増加は、成長率が高まったことによるものではないのです。

 雇用の増加は、成長率が低い割に労働力需要が膨らみすぎたことによって引き起こされました。これを「雇用弾性値の上昇」と言います(図3=略)。

 第16循環では、小売業や飲食サービス業で雇用増加が加速しています。今回の拡張過程では、消費支出は低迷しているのですが、消費が低迷するもとで、消費関連産業の雇用が拡大するという動きが見られるのです。

 2014年4月の消費税率の引き上げは、売り上げ鈍化という形で、小売、飲食の現場を直撃することになりました。労働者は、そこからの回復に懸命に取り組み、仕事はますます忙しくなっています。一方で事業者は生き残るために人手を増やしサービスを良くしようとして、過当競争に陥り、競争の激化と人手不足の悪循環が生じることとなりました。

 雇用増加の裏には、こうした厳しい現実があります。

「雇用情勢の改善」を表面的に語るエコノミストは、人々の生活や労働の実態に関心があるわけではなく、金融政策の成果にのみ関心があるのだと言ってよいでしょう。

翻弄されてきた労働組合
「官製春闘」のもと、実態を語れず
 一体、この間、労働組合は何をしていたのでしょうか。

 本来、労働組合とは、労働者の実情を「言葉」の力によって描き出し、社会に問題提起していく存在だったのではないでしょうか。

 2013年以降の賃金交渉では、従来、労使で行われてきた交渉に政府が関与し、「デフレ脱却」のために経営に賃上げを求めたことから、「官製春闘」と呼ばれてきました。

 もちろん、このように言われることを潔しとしない組合役員はいるでしょう。

 しかし、現実に、政府のデフレ脱却路線に組み込まれてしまったことは、政策当局と一緒になって、賃上げの成果を誇らねばならないことを意味していたのです。

 この過程で生じたことは容易に想像できます。

 たとえば、消費税率の引き上げは、2014年4月の税率引き上げまでの駆け込み需要とその後の反動減をもたらしましたが、労働組合は反動減の事実から目をそらしたのではないでしょうか。

 もし、消費税率引き上げ後の経済停滞を認めてしまったら、翌年の賃上げに力を込めることはできなかったからです。

 また、2015年の経済は低迷し、賞与もマイナスに転じましたが、この事実は、受けとめることすらできなかったのではないでしょうか。

 権力とともに賃上げに取り組んでしまうと、「賃金は上昇した」という結論以外を受け入れることはできなくなってしまうのです。

 賃上げの結果ばかりに気が取られ、社会の現実に向き合うことを次第に忘れて行きます。これは、かつて国民が、広く大本営発表を真実として受け入れた心理状態と似たようなものだと思います。


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