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労働運動

1456とはずがたり:2017/04/27(木) 15:05:21
>>1455-1456
同じように、深刻な経済危機に苦しんでいたポルトガルも、雇用関連規制の大胆な緩和によって、停滞を抜け出しつつある(ちなみにドイツもこの指数をみる限り、雇用関連規制はかなり厳格だが、ドイツは、自由な労働移動によってメリットを受けるというよりも、現状の産業競争力を維持する立場なので、これが経済の足枷にはなっていないようだ)。

フランス経済の現状と課題

ところで、このような雇用関連規制の緩和は、企業側からみれば、解雇が容易になることを意味するため、経済全体のパイを拡大させていかなければ、国民の不満は一層高まり、社会不安が高まることが想定される。そのため、今後のフランス経済にとって必要なのは、ECBによる金融緩和の継続と財政出動による需要の創出であろう。

だが、4月26日付けのロイターの配信記事によれば、6月にもECBは現行の量的緩和政策の本格的な縮小(すなわち、出口政策)に踏み切る公算が強まっているらしい。

確かにECBによる「マイナス金利付量的緩和政策」はある程度効果が出ている。一つは、ユーロ加盟国では、住宅価格の上昇から住宅投資・建設投資が拡大していることだ。

実はドイツ、フランスをはじめ、多くのユーロ加盟国の実質GDP成長率を牽引しているのは、住宅投資を初めとする建設投資である(イタリア、スペインも)。最近の中国の景気回復から輸出の回復を強調する見方があるが、実質GDP成長率における純輸出の寄与度は意外と低い。

むしろ、内需拡大による輸入増で純輸出の寄与度はマイナスの国が多い。また、ユーロ非加盟国でもゼロ金利、マイナス金利政策を採用している国においても住宅投資は同じく急拡大している。これは金融緩和の効果であろう。

もう一つは、インフレ率の上昇である。

ユーロ加盟国の多くが昨年10月頃からインフレ率の急上昇に見舞われた。確かに食品(特に小麦)や燃料価格の高騰によるところが大きいが、食品、エネルギーを除く「コア」でみても、消費者物価指数は概ね前年比で1%程度の上昇となっている。このインフレ率の上昇もECBによる一連の緩和政策の実施から一定のタイムラグを経て実現している。

もしECBによる出口政策が実施された場合、これらの2つの効果が剥落してしまうリスクがあるのではなかろうか。特に住宅投資が失速した場合、ユーロ圏全体の成長率が大きく減速する可能性がある。これはフランスも例外ではない。

一方、フランスの財政だが、2016年の政府債務残高はGDP比で96%、財政収支の赤字は同4%程度であると推測される(財政収支の数字はまだ公表されていない)。これは、マーストリヒト条約で定められたユーロ圏の財政健全化基準を満たしておらず、制度的には財政再建を実施しなければなない水準である。

マクロン氏もこれを気にかけているのであろう。しかし、フランス経済の現状を考えると、このタイミングでの緊縮財政はフランス経済をますます毀損させてしまうリスクがある。

「悪魔の選択」はあるか

以上より、新しいフランス大統領にマクロン氏が就任したとしても、フランス経済の再生は容易ではないと考える。

経済の再生だけを考えると、EUからの離脱によって財政出動の余地を拡大させ、多分、EUと同時にユーロ圏からの離脱によって通貨安を誘発させる可能性があるルペン氏のほうが「大化け」の可能性はあると考える。

仮に今回の大統領選でマクロン氏が勝利したとしても、経済政策運営に失敗してしまえば、その次の大統領選でルペン氏が(立候補すれば)勝利する可能性も残されているのではなかろうか。

また、前述の図表2をみると、次なるEU離脱の危機を迎えるのは、来年1月に総選挙が予定されているイタリアかもしれない。ヨーロッパの政治危機はなおも続く。


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