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労働運動

1213とはずがたり:2016/10/19(水) 15:45:20
>>1212-1213
「ブラックといわれる会社は、当然、何か問題がある。だからこそ、入社しやすく、居座りやすい。正社員として就職して、失業保険給付の条件を満たすことが仕事だ。世間で騒がれている長時間勤務や上司からの厳しい指導もやり方次第でいくらでも回避できる」

 最近までAさんは地場精密メーカーで正社員として製造業務に携わっていた。そこはブラックとの風評を時折耳にするところだった。拘束時間が約12時間と長く、給与は年齢や経験に応じて月額16万円から21万円とかならずしも高給とはいえない額というのがその理由だ。

 とはいえ、Aさんは、失業給付金をもらうまでの腰掛けと開き直り、仕事は徹底的して「時間をかけて丁寧」にやったという。それを1カ月続けた。やがて質はよくとも時間がかかる非効率的な勤務ぶりに、上司は業を煮やしAさんを厳しく叱責した。

「叱責された後、すぐに労働基準監督署に電話した。証拠などなくていい。その場ですればいい。そして労基署に『自分は仕事を一生懸命やっているのにこんな仕打ちを受けた』と話した。私はサボタージュしたのではなく、あくまでも『丁寧に仕事をした』だけ。それで厳しく叱責したとなるとこれは会社側にも問題ありでしょう。ブラックですよね?」(Aさん)

 こうしたAさんの態度に勤務先のメーカー側はすぐに反応した。まず、製造職から外し、日々、草むしりを命じた。誰もAさんに厳しく指導する者がいなくなったかわりに、親しく話しかける者もいなくなった。だが、それでも別に困ることもない。所詮は失業保険給付をもらうまでの腰掛けだ。何をいわれても平気なのだ。定時の出退勤で給与もきちんともらっている。文句はない。

「企業側に、『こいつ面倒くさいな』と思わせれば、後はもうこっちのものです。世間でブラックと評判の企業ほど、ややこしい者を抱える余裕はないので。そんな人間を刺激して、企業が抱える問題が表に出るリスクのほうが高いですから」

 過去、ブラック企業を含め、いくつかの企業を“使い捨て”にした経験のあるAさんは、決して、従業員が「一生、御社で勤めたい」という態度を取ってはならないという。

「住宅ローンがあるとか、生活が厳しいとか、『御社で働きたいです』という態度を出せば、それは企業側もつけ込みますよ」(Aさん)

 ではどうすればいいのか。Aさんは「毅然とした態度で自分の目的を企業側に言外に伝えることが大切」だとした上でこう話す。

「失業保険の受給資格ができればすぐに辞める。辞めた後はぐちゃぐちゃ騒がないということを、経営者や上司との話し合いの席で話の端々ににおわせ、態度で示すのです。そうすると、企業側は折れてくる。場合によっては会社都合で早めに退職させてくれることもあります。退職後の失業保険給付の月数も延びるのでこちらにとっても好都合です」

 とくに入社して最初の1カ月間が勝負だという。まずは、暇さえあればスマホを触っている姿を経営者や上司、同僚に見せつける。これで、「何かあればネットに書き込みをする者」との印象を周囲に植え付けるのだ。そして、仕事は“丁寧に”行う。決してサボっているのではないというアピールだ。極め付きは上司から叱責を受けた際、「タダ者ではないな」と思わせることだ。労働基準監督署への通報、弁護士への相談をにおわせるのだ。

「ブラックと評判が立つ喧嘩慣れしている企業ほど意外にも対応は早い。逆に喧嘩慣れしていない企業ほどこじれる傾向があります。でも、こじれれば、それだけ従業員側が有利になります。従業員は弱い立場です。自分の身を守るのは当然でしょう」(Aさん)

 なるほど、ブラック企業ですら持て余す理由がよくわかる。長らく続いた円高不況も終焉を向かえ、日経平均株価も2万円台を超えた。就職戦線はかつてのバブル期を思わせる売り手市場だという。「失われた20年」の長らく続いた不況期に咲いた徒花が「ブラック企業」だとするならば、活況期を迎えた今、花開こうとしているのが「モンスター社員」という名のそれかもしれない。ここ数年来、キャリア教育が成熟したが、それ以前の「職へのモラル」教育が年齢問わず必要だ。どこか空恐ろしくなる。

(フリーランス・ライター 秋山謙一郎)


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