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労働運動

1034とはずがたり:2015/12/24(木) 20:31:51

しかし、ついにプライス氏はそのわけを理解しました。ヘイリー氏が正しかったのです。低い賃金だけでなく、プライス氏の志も間違っていました。「不況を恐れるあまり、過剰に守りに入っていたんだ。そして自慢気に、社員たちを傷つけていた」と彼。こうして、プライス氏はごくありふれた起業家から、所得格差と戦う活動家に転身し、米国のビジネスのやり方を根本的に変える運動を始めました。プライス氏はヘイリー氏との一件のあと、3年間に渡って、社員の給与を年間20%ずつアップさせていきました。それに伴い、収益も賃金の上昇を上回るペースで増えていきました。そして今年の春、試算と不眠症の2週間を過ごした後、プライス氏は120人の社員に対して、ドラマチックな発表を行いました。4月13日のことでした。NBCニュースとニューヨーク・タイムズ紙が取材のために呼ばれていました。その内容は、次の3年間で、グラビティ社の最低賃金を年7万ドルまで段階的に引き上げる、また、その財源を捻出するために、プライス氏自身の給与を110万ドルから7万ドルにただちに引き下げる、というものでした。

賃金を含むコストを抑制してきた米国での反応

反響はすさまじいものがありました。ソーシャルメディアでは5億回も話題にされ、NBCがアップした映像は、NBC史上最もシェアされた動画となりました。グラビティ社には、守銭奴から改心したスクルージのように、にわかに気前がよくなった各地の経営者によって、突然の昇給を言い渡された労働者たちから、感謝のメッセージがぞくぞくと送られてきました。そのなかには、ベトナムのアパレル工場まで含まれていました。プライシ氏はアスペン・アイデア・フェスティバルで喝采を浴びると、リアリティ番組「アプレンティス」を手掛けるマーク・バーネットから、新しいドナルド・トランプとして、「ビリオンダラー・スタートアップ」という番組に出てくれないかとの依頼さえ受けました。グラビティ社には履歴書が殺到し、最初の1週間で4500通にものぼりました。そのひとつはTammi Krollという名の超有能な52歳のYahoo重役も含まれていました。彼女はプライス氏に感銘を受け、9月に職を辞すと、年俸が80〜85%も減るにもかかわらず、グラビティ社の元へ走りました。「私は長い間、お金を求めて働いてきた」と彼女。「これからは楽しくて意義のあることをしたい」

プライス氏はそこで立ち止まりはしませんでした。各地の社長フォーラム、バー、ファストフードレストランなど、至る所で積極的にディベートをしかけていきます。どれくらい多く、あるいはどれくらい少なく、労働者は支払われるべきなのか? 資本家や経営者たちがどれだけ努力しているかはわかりませんが、2000年から、多くのアメリカ人の実質的な賃金は増えていません。とりわけ、先の金融危機のあと、経営者たちは賃金を含むコストを厳しく抑制してきました。おかげでたしかに利益は増えました。ボーナスも増えたかもしれません。しかし、その代償は大きくはなかったか? 消費支出が全体の3分の2を占める米国経済において、GDPの伸びは所得の伸びに比例します。ところが、労働者には支出を増やすだけのお金がありません。所得が伸びていないことが、米国経済が停滞しているおもな原因なのです。

プライス氏が賃金爆弾を投下するまで、こうしたディベートの多くは専門家たちが小難しい話をこねくり回しているだけでした。彼はその議論を血肉が通ったものにしました。現代のロビンフッドは、労働者階級を助けるために自分自身からお金を盗んだのです。そして、彼に習って賃上げを断行した経営者がいる企業の株主たちからも盗んだと言えるかもしれません。ケチの王様、ウォールマートが最低賃金をしぶしぶ引き上げたのは果たして偶然なのでしょうか?

そして、予想どおりの反動が起こりました。プライス氏はFox Newsで晒しあげられ、億万長者であるリンボー氏からさんざんにこき下ろされました(「こんな会社はMBAのケーススタディになればいいんだよ。社会主義がうまくいかないことの例としてね。見てりゃいいさ、絶対に失敗するから」)6月のTime誌には、不満を抱えた顧客やスタッフたちの声があまりにたくさん掲載されたので、心配した友人たちが、物事がうまくいかないときは立ち止まってもいいんだと伝えるために電話をかけてきたほどです。また、これはプライス氏のメディア戦略に過ぎないと非難する人たちもいました(「もしそうなら俺は天才だね」とプライス氏はコメントしていますが) プライス氏が同社の最低賃金を発表するとすぐ、兄のルーカスはダンを告訴し、ダンが自分自身に「過剰な報酬」を支払っていたと主張するとともに、ルーカスが所有する同社の30%相当の株を「公正価格」で買い取るか、会社を解散するようダンに命令することを裁判所に求めました。ルーカスはコメントを控えています。ダンは兄の要求を拒絶しました。


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